経営コラムColumn

こんなリーダーはいませんか?~問題は全て他責で、自分は悪くない~

リーダーの他責思考から退職者が続出

店長に昇格したAさんは、販売計画達成に強い意気込みを示すものの未達が続き、成果を上げられませんでした。部長が店員にヒアリングすると、店長に対する不満の声が聞こえてきたのです。
それは、「問題が発生しても自分で解決せず、解決出来ない部下を攻撃する」といったもので、A店長が部下に寄り添わず、他責思考で一方的な指示を繰り返す状況が見えてきました。
部長は現場の声をA店長に伝え、改善指導しましたが、その後も大きな変化はありませんでした。
部下が健康状態に問題を抱え、勤怠に影響した際も、本部に報告する必要があるからと聞きたいことだけを尋問するなど、部下に寄り添わない態度が続いたのです。やがて、様々な問題が発生しても相談できず、解決しないことに部下の不満が積り、スタッフ同士の言い争いが増え、お客様からのクレームも増大、スタッフの退職者が続出する事態となったのです。

360度評価と内観で自己革新を決意

この会社では360度評価をもとにした内観を実施しており、A店長も研修に参加し、外部講師の下、自分の言動を見つめ直した結果、「同年代より昇進が遅かったことにコンプレックスを持ち、何とか店長になった立場を守りたいと保身していた」心情を吐露し、計画が達成できないのは部下の問題と考える他責思考が課題と気づきました。講師から、「A店長の下では人材が成長せず、このままでは店長を任せられない」と指摘を受け、「今度こそ変わらなければだめだ、全て自責と捉え店長として責任を果たしたい」と話し、「店長の使命は顧客の創造と人材育成であり、覚悟を決め全力で取り組む。指摘を素直に受けとめ、他責にせず、部下を労い、寄り添うリーダーになる」ことを決意しました。

「生き様インタビュー」で部下との信頼関係を強化

A店長は研修後すぐ、スタッフ全員と生き様インタビューを実施することで、部下に寄り添い、信頼関係を築きました。
以前、一方的に叱ったことで、A店長との会話をしなくなった女性スタッフとの面談は2時間に及びました。最初「店長に話することは何もありません」と心を閉ざしていましたが、A店長が研修で指摘を受け反省したことを素直に話し、一方的に叱ったことを詫びながら、「あの時は少し体調が悪そうだったけど、、、」と労いの気持で聴き続けたことから、彼女は徐々に打ち解け、自分の過去の経験や思いを話してくれ、最後は明るい笑顔で終えました。

翌日からA店長との会話も増え、1週間後に実施した2回目の面談では、お客様に喜んでもらうための対応を一緒に考え、毎回の接客で感謝の気持を伝える取り組みを合意し、早速実践しました。その後、彼女は笑顔が増え、お客様の事を第一に考えるスタッフに成長しました。

「させるから、一緒にする」部下指導へ

A店長が、別の若手スタッフの指導計画を提出した際、「お客様来場時には必ず挨拶させ、関係を良好にさせる」など、「させる」表記を連発し、講師から「させるという一方的な指示がそもそも他責であり、思考から変えるべきです!」と指摘を受けました。A店長は、生き様インタビューで、彼がお客様からの「ありがとう」がすごく嬉しいと理解したので、「お客様との関係を良好にするため、情報収集とお役立ち情報提供のロープレ指導を継続する」と書き換えました。
その結果、営業スタッフも情報収集が上手くなり、お客様との対応で談笑が増え、「ありがとう」をもらえるようになりました。

リーダーが他責思考を自責思考に改め、部下に徹底的に寄り添うことで、相談しやすく、組織全体で協力し合うようになり、CSが高まり業績も向上したのです。

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シニアコンサルタント 新谷 健夫 Takeo Shintani

1985年に大手経営コンサルタント会社入社後、2000年からグループ会社を立ち上げ、買取店や残価クレジットFC店の経営に携わる。2006年からはカーリンクチェーンの本部構築とともに、直営店舗を運営する。小集団活動など、現場に入り込んでの組織開発を中心に、豊富なコンサルティング経験を保有し、自動車販売店の店長や工場長の意識革新、マネジメント能力の向上、営業スタッフの商談力強化など、実務経験を活かした実践的な指導に定評がある。

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