経営コラムColumn

外国人自動車整備人材の活用
〜安い労働力から有力な人材資源へ〜今回は、川崎大輔氏にコラムを寄稿いただき、外国人自動車整備人材の現状と導入事例をご紹介します。

求められる外国人自動車整備人材

自動車整備白書によると、約5割の整備事業会社で整備士が不足し、約1割の事業者がすでに運営に支障が出ています。少子化や若者の車離れの進展などにより、自動車整備士を目指す若者が10年間で半減しました。さらに、整備士の高齢化が進展しており(平均年齢43.8歳で、約2割が55歳以上)、有効求人倍率は3.73倍(2017)で、近い将来、自動車整備人材不足が更に顕在化します。そこで、外国人を整備人材に採用する動きが加速し始めています。この可能性を広く捉えて考えたいと思います。

外国人整備エンジニアの受け入れ方法

外国人を自動車整備職として受け入れるために、2つの方法をご紹介します。
1つ目は「外国人技能実習制度」の活用です。技能実習制度とは発展途上国の外国人を日本で一定期間受け入れてOJTを通じて技術や技能、知識の移転を図る制度です。
2016年4月1日より外国人技能実習生制度において「自動車整備」が職種に追加されました。現在、ベトナムやフィリピン、カンボジアなどからの約1000人の技能実習生が約700企業で働いています。

2つ目は、専門的・技術的分野で在留許可を持って働くスカイブルー人材です。スカイブルーとは「単なる熟練ではなく、かなり高度の専門的知識と技術の裏づけをもち、マネジメントもできる新しいタイプの人々(外国人)」を意味します。技能実習生とは大きく異なり、その特徴は、採用人数や受け入れ期間に制限がないことです。

技能実習生の活用事例

あるディーラー(従業員数103名)では、11名の整備技能実習生(フィリピン人5名、ベトナム人6名)が働いています。社長にインタビューしました。
「今すぐに日本人の整備人材を11名雇用できるのかと言われれば無理です。その課題を克服するには、外国人技能実習生しかありません。
技能実習生を採用していくと方針決定したとき、会社が外国人を受け入れるかどうか心配でした。多くの従業員から『外国人なんかやめたほうが良い!』『外国人に技術を教えられるか!』『俺は外国人と話をしないぞ』という声が出てました。
その不安の中、フィリピンを訪問して面接した結果、日本と全然違う!という強いパッションを感じました。日本人アルバイトは10年後何をしたいという希望を持っていません。それに比べ、彼らにはすごいパワーを感じました。更に、雇用決定をしたとき『ありがとうございます!』という真剣で大きな声を聞き、もう彼らしかないと強く思いました。帰国後は、社内の従業員に外国人の必要性について、ことあるごとに語り続けました。
また、外国人技能実習生に対する課題は、日本語でのコミュニケーションが難しいので、マニュアルなどを準備し、外国人のための『教育プログラム』を作りなどの仕組みが必要です。日本に来て最初に車検整備を教えましたが、教育の仕組みがあるので、比較的スムーズに、たどたどしい日本語でも教えることができました。
さらに、実際に受け入れると彼らの純粋さを感じます。また、彼らの一生懸命さを見て現場の雰囲気も変わり、社内活性化という外国人受け入れの新たなメリットにも気が付きました。」

いかがでしょうか。整備人材不足という課題解決には、外国人を安い労働者、単なる人手ではなく、共存共栄できる戦力、有力な人材資源として考える必要があります。お気軽にお問い合わせください。

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株式会社アセアンカービジネスキャリア 代表取締役社長 川崎大輔 Daisuke Kawasaki

1975年生まれ。経済学修士、MBA(経営学修士)、京都大学大学院経済学研究科東アジア経済研究センター外部研究員。香港の会社に就職後、アジア各国に10 年以上駐在し帰国。大手中古車会社にて海外事業部の立ち上げなどに関わる。2015年、アセアンプラスコンサルティングにて日系自動車関連企業のアジア進出をサポート。アセアンの人材ソリューション事業を行うアセアンカービジネスキャリアも立ち上げ、「循環型グローバルビジネスモデル」を提案。

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