トップセールスの「紹介・増車を増やすお客様接点」実践法
紹介をもらえるお客様との関係こそが、スタッフの生きがい
「娘の夫が車を探していて、相談に乗ってくれるかな?」と、お客様から電話を受け、早速その日のうちにアポをとって訪問するベテランスタッフのAさん。研修受講後6年連続で100台以上販売するトップセールスですが、そのうちの2~3割は紹介や増車での販売です。
Aさんはどうしてお客様に頼られるのでしょうか。その秘訣は基本姿勢にあります。Aさんは、お客様との関係をとても大事にし、お客様一人ひとりを好きになり、いつもお客様を輝かせるために、自分は脇役を演じるのです。商談では、お客様の趣味や用途に対し、新しい車を使えば楽しんでもらえること、笑顔になってもらうことを最優先に考えています。
お客様に合わせた対応にも細心の注意を払います。どんなお客様でも最初は真摯に対応し、静かなお客様であれば、じっくり話を聞くことを心掛けます。家族での商談は、全員を巻き込み、仲良くなるように気を配ります。お客様ごとの特徴を掴み、痒い所に手の届く提案を心掛けています。
こうした姿勢から、自然にAさんのことを気に入り、あの店には頼りになる面倒見の良いスタッフがいるからと紹介が増えます。これがAさんの生きがいなのです。
今回はAさんに紹介獲得の秘訣をインタビューしました。
お客様との関係を強化する3つの接点
1)引継時からの関係強化
まず、お客様の様々な経験を聴き、共感することで、良い印象を持ってもらいます。趣味や仕事の話を聞いていれば、どの時間帯に、どういう連絡の仕方がお好みかを掴むことができ、気配りのある対応ができます。そして、世間話をしながら、お客様の疑問や困りごとを探ります。お客様のピンチはチャンスと、お客様が困ったことには最優先で対応します。
仲良くなってくれば、自分の家族の写真などを見せて親しくなります。お客様は、最初は車屋さん、次にメーカー名、そして最後に名前になります。お客様が「○○さん」と名前で呼んでくれるのが親しさのバロメーターであり、お客様のことが大好きですという気持ちを持てば、いつも前向きな対応ができ、万一問題が発生してもすぐに信頼回復できるとAさんは言います。
そして、こうした気遣いが十分に伝わってくると、今度はお客様から、「成績は好調なの?」と言ってくれるようになるのです。
また、お客様としばらく会えず、何を考えているのかわからなくなってきたら必ず連絡をとります。入庫面談で、目をそらしたり、よそよそしくなったり、「お久しぶりです」といわれるのは黄色信号で、即日訪問してお客様の話を聞くようにします。
2)入庫対応での関係強化
お客様は特別扱いして欲しいと考えており、ほったらかしにされていると思ったら最悪です。自分を大切にしてくれていないと思われたら紹介はもらえません。忙しい状態でも絶対に会話をする。せっかく足を運んでもらっているから是非会いたいという気持ちを強く持つことが大事です。商談中のお客様には、1分で戻りますとお伝えし、全てのお客様に挨拶します。お帰りの際は小走りでお見送りに行き挨拶をすれば、お客様から「早く戻って上げて」と気遣いをいただけます。
3)成約から納車までの関係強化
お客様にとって納車は一番うれしい瞬間で、気持ちも盛り上がるので、受注から納車までの対応には十分注意を払い、サポートすることで信頼感を高めます。
納車時には「○○さんに購入してもらって嬉しいです」と、お客様への感謝の気持ちを伝え、「最高の買い物でしたね、うらやましいです」と盛り上げます。そして、「私からのお願いが2つあります」と伝えます。1つ目はすごく簡単なこと。例えば「安全装備はしっかりつけていますが、事故しないでくださいね」といったことです。もう一つは「ご紹介をお願いしたい」。1つ目で簡単なお願いをして心を開いてもらい、2つ目のお願いで、紹介依頼されたことを意識付けします。お客様が「あの人に紹介したら楽しいし、頑張ってくれる」と感じてくれれば合格です。
そして、紹介者の話が出たら一気に動きます。「遠方なんだけど、来週にでも行ってくれる?」と言われたら、「いや、今晩行きますよ」といって対応します。すぐに行動することで、紹介元のお客様の顔を立てます。紹介先のお客様も、「え、今日来てくれるの、別の日でもいいよ」といいながら驚きと感動でスタッフを迎えてくれるのです。
日々の活動の中で、お客様が喜んで紹介してくれる関係作りを実践しましょう。