経営コラムColumn

月報マネジメントで組織一丸化
~会議改革が組織を活性化させる~

不満だらけの会議の実態

 店長会議、営業会議、サービス会議、販促会議等々。多くの会社では、様々な会議を行っています。しかし、会議についての感想を聞くと、ネガティブなコメントばかりです。
 会議を主催している側からは「話した内容を理解していない」「参加者からの発言が少ない」「会議で伝えた方針が現場に徹底されない」といった声が聞かれます。一方で、会議の参加者からは「何のために会議をやっているのか解らない」「社長や本部長が一方的に話をするだけ」「話があちこちに飛んで良く解らない」という不満の声がまん延しています。
これでは良い組織になるわけがありません。社員の皆さんと話していて「この会社は雰囲気が悪いなあ」と感じることがありますが、会議が機能していないことが大きな原因だと感じます。

月報が会議の生産性を飛躍的に改善する

会議を活性化させるための最も重要なツールが「月報」です。「月報」とは文字通り「月次報告」という意味です。会議参加者が前月の自部門の業績や活動を振り返り、今月の課題や方針、活動計画を解りやすくまとめた報告書です。これを活用して会議を進めることで「会議の見える化」を実現します。
 どんな会議でも資料は使用していますが、業績データや管理指標に基づく数字の一覧、販促資料、連絡事項といった表面的なものが多く、具体的な活動の振返りや課題の検討ができていないケースが多いと感じます。
 しかし、「月報」を活用すると、情報の共有度が高まり、意見交換も活発になります。方針も浸透しやすく、現場の声を吸い上げることも容易になります。その結果、現場は方針に沿ったスピーディーな動きをするようになり、現場の声を基に会社全体の改革や改善が進むようになります。

月報を活用した会議の改革で組織の活性化が進む

 ある会社の社長から「会議のやり方を変えたい」というご相談を受けました。現状を把握する為にその会社の幹部会議に参加しました。社長、役員をはじめ本社の管理職と20人の店長が集まる、会社では最も重要な位置づけの会議でした。
 見学させていただき、愕然としました。その会社でも給与の高い人が一同に会し、2時間以上の時間を費やしているわけですが、役員や部長からの一方的な話が続き、参加者はそれを黙って聞いているだけです。話の内容は、あちこちに脱線し、聞いている限り、まとまりがありませんでした。「何か質問は?」と聞かれても参加者は黙ったままです。あれでは、質問のしようもないと感じました。会議終了時、「ああ、やっと終わった」と疲れた顔で会議室を出ていく人が目につきました。

今のままの会議を続けることはマイナスにしかならないと感じ、社長に月報を活用した会議について提案し、導入がスタートしました。幹部会議の中で発表することの多い、本部長、部長に加えて管理部門や企画部門の課長に、3ヶ月間で月報の作り方や発表内容、プレゼンの仕方等について指導しました。方針や課題を文書にすることやパソコンでの資料作成が苦手な人もいましたが、一つ一つクリアし、全員が月報を作成できるようになりました。
 そして、月報を使った会議をスタートしました。発表をする役員や部長が自ら作成した月報を、プロジェクターで投影して説明していきます。参加者はスクリーンに集中し、発表内容もしっかりと理解できたようです。「何か質問は?」と聞かれて、質問や意見も出るようになりました。参加していた店長に感想を求めると「役員や部長の話が良く理解できた」「業績を改善するための方針や施策が解りやすかった」「店舗に戻って店員に対する指導がしやすい」等のポジティブなコメントが聞かれました。
 その後、会議内容の改善を進めて数か月が経過しました。発表される月報の内容も更にレベルアップし、会議の中での意見交換も活発になりました。課題や方針について、店長以上の理解度が高まったことから、現場への共有も以前と比べて格段に良くなりました。又、幹部会以外の会議でも月報が活用され、会議の雰囲気も明るくなったと聞きます。
 現在の自社の会議が上手くいっていないとお感じであれば、是非、この「月報マネジメントチェックリスト」活用して、会議の見直しを図ってみてはいかがでしょうか。
 

レッツチャレンジ

① 自社の会議やミーティングについての問題を「月報マネジメントチェックリスト」に基づき、チェックしてみましょう。
② 問題点が多ければ、会社の主要メンバーを集め、チェックリストに基づき、問題を共有しましょう。
③ 改善項目について優先順位を設定し、役割分担をして改善を進めましょう。
④ 一定期間、経過した時点で改めて、チェックリストに基づき、改善できた点、改善しなければならない点を整理しましょう。
⑤ 月報マネジメントが定着するまで、継続して改善を進めましょう。

無料読者プレゼント:月報マネジメント活用チェックリスト

実際に「月報マネジメント」を導入した経営者の声

当社では数多くの会議やミーティングを実施していますが、私が見ていて効果的だと感じるものが少なく問題を感じていました。特に店長や本社の管理職以上を集めた、毎月の幹部会議については、その運営は総務部長に任せてきたのですが、毎月、これでいいのかと感じる内容でした。そこで、月報マネジメントの導入に踏み切りました。私を含めて、月報を作るのには苦労しましたが、半年が経過して、会議の様子は激変しました。現場への方針の浸透スピードも早まり、大きな手応えを感じています。  N社 社長

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シニアコンサルタント 瀬野 幸洋 Yukihiro Seno

1986年に大手経営コンサルタント会社入社後、95年から新車ディーラー(カーディーラー)1180拠点以上を支援。営業スタッフの商談力強化、店長のマネジメント力強化等のテーマに取り組む。

管理者を対象にした内観研修(M-SIP)を長年に亘って担当し、自動車販売店の店長や工場長の自己革新事例には事欠かない。

管理者やリーダー社員の仕事に取り組む姿勢を変革し、その成長に寄与することをライフワークとしている。

自動車業界の後継者育成にも数多く関与し、日刊自動車新聞社発行の「クルマ屋を継いで良かった!」の著者でもある。

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