経営コラムColumn

OJTで人材を磨く極意~代替サイクル短縮で年販100台のスタッフ育成~

スタッフの想いを汲む

2020年5月以降、トヨタが全車種併売になり、全系列で顧客の争奪が激化しています。そこで、本日はA店長の事例を活用し、顧客争奪戦に勝てる人材育成の極意を伝えます。

A店長は、30代前半のBスタッフと、1年間の活動方針をすり合わせる面談をしました。
「Bさん、受注台数で一昨年は60台、昨年70台と活躍してくれて本当にご苦労様でした。ところで、今期は、何を目指したいと考えているの?」
Bさんは、真剣に答えました。
「念願の100台セールスを目指し、今年はその足掛かりとなる1年にしたいと思います。そこでA店長に助言をいただきたいと思います。」

「真の課題」を提示する

そこで、A店長は、切り出しました。「Bさんは、受注に対する残価割賦利用率20%と物足りない。残価割賦の内訳は、3年残価0件、5年残価14件で、利用率20%に留まっている。おそらく6-7年で乗り換えるお客様を5年代替にできたと思うし、このことは評価できるけど、3年代替の獲得を目指して欲しい。今期は、残価利用率20%を50%まで高め、半数以上で3年代替を獲得してみよう。私はこれが100台セールスになるヒントだと思う。」

スタッフの価値観を転換する ~残価割賦の意義を明示する~

「ところで、Bさん、なぜ残価割賦を獲得するのか意義が分かるかな?
まず、会社やスタッフにとっての意義は、早期代替を促進して代替サイクルを短縮できれば、販売台数を増大できる。例えば、9年で1台乗っていたお客様が、3年毎に乗り替えると3倍の受注台数になるのは理解できるね。

一方、この取組は、お客様も喜んでくれる。最近、車の進化が速く、モデルチェンジ前でも、安全性、操作性、居住性、経済性など次々に改良される。例えば、高速道路走行は“半自動運転”で安心して運転できるし、市街地は、衝突回避できるよう改良されている。だから、短期の乗り替えは、常に改良された最新の車に乗れるので、お客様も喜ぶ。

それでも、お客様が1台の車を長期保有するのは、短期の乗り替えは、高額で“勿体ない”と考えるからだ。ところが、車両代、諸費用、タイヤ交換などの消耗品、車検や点検費用など計算すると、“長く1台を乗ること”と“短期間で乗り換えること”の費用差はわずかだ。この価値をお客様に上手に伝えれば、お客様も喜んで早期代替してくれる。」
Bさんは、段々と何をすべきかが分かりはじめました。

「なるほど!残価割賦は、“新車購入費の支払月額が安い”だけが価値だと誤解していました。それ以上に、長期保有でも、早期代替でも、メンテナンス費用を含めた負担総額はほとんど変わらない!それであれば進化した車に乗ることは絶対お得ですね!」とワクワクしながら話しました。

成功イメージの共有

「それでは、Bさん。ここで他のスタッフが獲得した3年代替の事例を共有するね。

ミニバンを現金購入し、長期保有意向のお客様。4年半の点検入庫で、早期代替がお得と啓発し、さらに現行車の進化を訴求すると「実は、電気自動車、自動ブレーキ、自動運転に非常に関心がある」と盛り上がる。今回は少し進化したミニバンに乗って、3年後、電気自動車、自動運転車に乗り替え合意。3年残価割賦で同型ミニバン受注。
セダン購入7年目、車検後6ヶ月点検にご夫婦で来店。ご主人が入庫待ちで新型セダンを試乗していると、奥様は「もったいない。車は故障するまで乗り続ける」と拒否。
ところが、話を聞くと「1年前に自宅を購入、引っ越したことで奥様が車通勤になり、運転に不安がある」と確認。3年代替の魅力を伝え、安全性の進化を訴求すると奥様も納得し新型セダン受注。安全性の高い車に3年毎に乗り替えたいと期待された。

どうだろう?Bさん。このようなお客様を数多く獲得できると思わないか?」
更に、Bさんは、目を輝かせて「そうか!早期代替でも総額費用は変わらないと伝えた上で、お客様に3年後に進化した新車に乗る価値が伝われば、3年残価を獲得できますね。実は自分では5年残価しか契約したことが無かったのですが、次は絶対に3年残価で契約します。」と熱く語りました。

目指すべき姿の鮮明な提示

A店長は続けました。「次の表のように、Bさんが保有する管理客540人の1/3に当たるお客様180人が『残価割賦で3年代替する』と毎年60台ずつ受注できる。それ以外の残価割賦未契約のお客様360人から年間40台受注すると合計100台受注を達成できる。だから、課題は残価割賦を活用して早期代替を実現することだと思う。」

【管理客の代替サイクルと年販台数】

目標達成への決意

Bさんは、「A店長、この3年間の目標が鮮明になりました。残価割賦で3年代替したいと考えるお客様を180人獲得する、そしてそのお客様をフォローし、確実に3年で代替いただく。そのためにお客様が、喜んで早期代替、3年代替をしたいと思ってもらう話法を磨きます。A店長、次はこの点を助言いただけませんか」と笑顔で言いました。

OJTで人材を磨く極意

いかがでしょうか。今回は「3年代替を実現し、100台セールスを育成する」というテーマでしたが、そもそも理想的なOJTには、以下のポイントがあります。

  1. データを提示し、課題を自覚させる
  2. 課題解決の「取組み意義」を明示する
  3. 成功事例で疑似(成功)体験を与える
  4. 目指すべき姿を鮮明に提示する
  5. 目標への決意を表明してもらう

このOJTで、スタッフは動機づけされ、主体的に行動し始めます。だから人材を磨くことができます。皆さんも是非取り組んでみてください。

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