早期代替の価値~残価利用率50%超の極意~
「長く乗るのがお得」の呪縛を解く
なぜ、残価利用率が向上しないのでしょうか。
最大の理由は、「長く乗るのがお得」の既成概念が邪魔するからです。新車は、貴重品、高級品で、手入れして長く大切に保有することがお得だと信じられてきました。
しかし、リセールバリューの高い人気車を早期代替すると下取価格が高額でお得だ、と気づいた買取店や先進的なディーラー経営者は、既にこの既成概念を打破していますが、一部の経営者、スタッフが気づいていないので、お客様にお伝えできていないのです。
実際、車両代やメンテナンス費用、下取価格を含めた総経費を試算すると、長期保有する経費に対し、少し金額を上乗せすれば「早期代替がお得である」だと納得できます。
さらに昨今のメーカーの新車開発競争の結果、安全性、居住性、操作性などの進化が加速しました。従って、例え3年後に同じ車に乗り替えても、進化した新機能や新装備が満載のため、全く違うタイプの車に買い替えたことになるのです。
この事実をお客様に啓発し、「長く乗るのがお得」の呪縛を解くことが「残価利用率50%超の極意」の第一歩です。
関心を持ってお客様を深く知る
もう一つの「残価利用率50%超の極意」は、「お客様を深く知る」ことです。それは、車購入の際に、お客様が重視する点や代替検討のきっかけなどを掘り下げて深く聴き、「お客様を深く知る」ことが重要です。
スタッフは普段から、用途や使用頻度、家族構成、保有年数、走行距離などの情報収集を意識しますが、これらは単なる「表面的」な情報です。「深く知る」とは、これらの情報をもとに、お客様の背景や理由を掘り下げて、深く知ることです。
例えば、「数多くある車種から、なぜこの車を検討しているのか?」、「その用途に対し、お車をどのように使うのか?」、「その用途の際に、何を重視するのか?何を楽しみにしているのか?」、「なぜ、その用途にそこまでこだわりを持っているのか?」という質問です。この深く掘り下げる質問をするためには、質問話法のテクニックでなく、お客様に最大限の関心を持つ姿勢や心構えが必要です。この姿勢を持った「質問」だからこそ、お客様を「深く知る」、「深く理解する」ことができるのです。
「深く知る」と未来が見える
それではここで、2年前に「深く知る」商談を訓練し、現在も体現する「残価利用率70%超え」を誇るスタッフの成約事例をご紹介します。彼は、現在もこの「深く知る」姿勢で臨む商談が、とても楽しいと話してくれます。
お客様を深く知れば知るほど、『ご両親想い』だと感じたので、『なぜ、ご両親を大切に想っているのですか?』と質問すると『実は少年時代に“やんちゃ”して、両親に大きな迷惑をかけた。今は何とか親孝行したいと考えている。』と理由と背景が分かりました。
そこで私から、『今回は、残価割賦でこの中型ミニバンを購入し、お父様の膝の回復を祈念しながら、3年後は、安全性や操作性、居住性の高まった上級クラスのミニバンにしましょう。3年後の進化したミニバンは、高速走行が非常に快適で安心な装備になり、また、座席シートが改善され居住性も高まればご両親の乗り心地も良くなり、毎週、温泉旅行を楽しめます。』と提案しました。お客様も快諾され、『3年後が楽しみだ』と感激しながらご契約いただきました。最後は、『このお店に来て良かった。自分を理解してくれて嬉しい。今後ともお付き合いのほど、宜しくお願い致します。』とお帰りになりました。」
このように深く知ることが、残価利用率70%超えのスタッフの極意なのです。
いかがでしょうか。啓発力と共感力を強化することで残価利用率50%超を維持でき、さらに生涯を通じてお付き合いできるようなお客様と関係構築できるのです。