経営コラムColumn

ウェルビーイングを経営に活かす

ウェルビーイングの必要性

昨今、「ウェルビーイング経営」という言葉を聞くようになりました。そこで、様々な文献を調べると、ウェルビーイングとは、「健康」、「幸福」、「社会」の3つを良い状態にすることと分かり、我々は、「社会」を良くするとは、「社会貢献・顧客満足」と解釈しました。
さらに、「幸福」については、これまでも様々な経営者が説いてきました。松下幸之助氏は「生きがいは、趣味や家族など、何に対しても持って良いが、人生を充実させるには“仕事にも”生きがいを持つことが必要」と説いていますし、稲盛和夫氏は、経営理念に「全従業員の物心両面の幸福を追求する」を掲げています。ウェルビーイングとは、これらのことと同様の概念だと思います。

それでは、なぜ今、ウェルビーイングが必要なのでしょうか。
この研究で、日本の第一人者である、慶応大学の前野隆司教授の著書「ウェルビーイング」(2022年日経文庫)を要約すると、1990年以降、人々が物的満足から心的満足を追求するように価値観が転換してきたことや、「幸福とは、金銭的、物質的豊かさ」と「経済成長」を追求した結果、環境破壊、飢餓や貧困といった「社会」の限界が到来し、「幸福」が「経済成長」では、必ずしも「社会が良い状態にならない」と人々が気づき始めた、と述べています。
また、「アメリカの研究結果として、幸福度が高い人材は、創造性が3倍、生産性は31%高い、売上げ37%向上した、また、欠勤率は41%、離職率も59%と低く、業務上の事故が70%少ない」と紹介されています。

一方で、「健康」、「幸福」、「社会」の3つを良い状態にするウェルビーイングを目指す企業の取組みとして、「健康経営」や「社会貢献」を標榜する企業は増えましたが、「社員の幸福実現」を標榜する企業は少ないと感じます。

社員の幸福とは何か

それでは、「社員の幸福」とは何でしょうか。
前出の前野隆司教授は、著書「ウェルビーイング」の中で「ポジティブ心理学の第一人者、マーティン・セリグマン氏が、PARMA(パーマ)の法則を掲げ、下記の幸福因子5つを全て満たす人は、『幸福を感じている』と強調しています」と記しています。

P(Positive Emotion ポジティブエモーション) :ポジティブ感情
E(Engagement エンゲージメント) :集中、夢中の状態(没頭・没入)
R(Relationships リレーションシップ) :良好な人間関係、孤独より繋がり
M(Meaning ミーニング) :生きる意味や目的
A(Achievement アチーブメント) :達成感

このPARMA(パーマ)の法則の中の「E:集中、夢中な状態」や「M:生きる意味や目的」では、ジェームズ・コリンズ著「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」(2001年日経BP社 訳:山岡洋一)に、普通の会社が、超一流企業に飛躍した11社の特徴として、「これらの企業では、経営陣から社員まで、情熱を持って取り組めるものは何かを深く考えている」と提唱されています。
さらに、社員の幸福実現には、先述したように松下幸之助氏、稲盛和夫氏の教えもあり、自己啓発に活用する方はいますが、社員教育、人材育成の手法としては、必ずしも明確ではなかったと思います。

社員の幸福を実現する手法

弊社は、「才能開花を支援し、社会に活力を与える」を標榜し、効果的、効率的な教育訓練手法を2006年から研究してきました。その結果として、セリグマン氏が掲げる5つの幸福因子を全て満たす教育訓練を実践していると自負しています。

弊社には、幸福実現の人材育成エピソードがたくさんありますので、「ウェルビーイング経営の実現」について、これから連続3号にわたって特集していきます。是非とも参考にしていただきたいと思います。

  • 無料プレゼント
    本コラムが掲載されている
    月刊Car Business
    2024年第5号
    ダウンロード

代表取締役社長 寒川 誉浩 Takahiro Samukawa

1992年に大手経営コンサルタント会社入社後、95年から新車ディーラー(カーディーラー)100拠点を支援。2002年に残価クレジットFC本部支援、2006年には、委託販売のカーリンクチェーンの本部構築、数多くの研修やノウハウ開発、理念経営、CS向上支援を実践。

営業スタッフの商談力強化、店長のマネジメント力強化から、経営理念の浸透支援、経営戦略策定支援まで自動車販売業に対して幅広い支援実績を持っている。

お問い合わせ・資料ダウンロード

コンサルティングに関するご相談などお気軽にお問い合わせください。