経営コラムColumn

人材育成の鍵は「内観」にあり

人材育成の鍵は「内観」にあり

内観研修とは、自らの日常の仕事ぶり(その行動や態度や姿勢等)を見つめ直し、課題を明確にして、職場でトレーニングを実施するもので、短期間で見違えるように成長するケースが多くみられます。一つの事例を紹介してみましょう。

T系ディーラーの中古車マネージャーをやっていたYさん。年齢は51歳。営業として実績を積み重ね、マネージャーや店長を歴任してきましたが、優しい性格が災いして部下への厳しい指導ができずに業績低迷が目立ち、2年前に今のポジションになりました。

今の部下達は、新車店舗のメンバーとは違い、適当な仕事ぶりが目立ちました。Yさんは、それも仕方ないと思い、厳しい指摘もせず、問題があればカバーするようにしてきました。部下達はそれに甘え、販売実績も伸ばせずにいました。

そんな状況の中で、Yさんは内観研修を受講しました。研修では上司や部下からの評価がデータとして使用されます。Yさんは部下からは「思いやりがあってコミュニケーションも良い」と評価が高かったのですが、一方で「業績達成に向けた意識は高くない」「部下の成長にはあまり関心がない」という問題を上司ばかりでなく、部下側も感じていることが明らかでした。

Yさんはその評価に最初驚いていましたが、日頃の自分の仕事ぶりを客観的に振返り「確かに自分は部下に優しく声がけしているが、部下に問題指摘することが無い」と反省しました。一緒に受講していた店長達からも「君が厳しく問題指摘しないことが部下の成長を妨げているのではないか?その結果、部下は目標達成できず給料も上がらない。管理者としては失格だろう」と厳しく指摘されました。

Yさんは、田舎育ちで伸び伸びと育てられこともあり、人と対立することを避け、人と仲良くなることが得意でした。そういう性格が功を奏して、営業マンとしては好業績をあげてきましたが、人を育てる立場になると、役割を果たすことが出来なくなりました。今までは、それも仕方ないと諦めていたようですが、今のままでは管理職としての評価も上がらず、このまま職業人生を終えてしまうことになると強い危機感を持ちました。

Yさんはこの内観をきっかけにして、部下に問題がある場合は厳しく指導し、ミーティングの席でも、目標達成に向けて部下との対話を重ねるようになり、その後店舗業績も上向きになりました。

人材育成の鍵は「内観」にあり。是非、一度、お試しになっては如何でしょうか。

レッツチャレンジ

このツールを使って、問題のある管理者の意識レベルを分析して指導に活用できます。以下の手順で使用して下さい。

<使用方法>

  1. 対象となる管理者にチェックリストを渡し、質問項目に対して、5点満点で自己評価をさせて下さい。
  2. 自己評価の点数について、本人がなぜその点数をつけたかを考えさせ(内観させ)、コメントを書かせて提出させて下さい。
  3. 一つの質問内容について5分程度は振り返らせるようにして下さい。(5分×20項目)
  4. 提出させたら、それを見ながら社長が同様に5点満点で評価して下さい。
  5. 評価する際に、なぜその点数なのかを自分で明確にして下さい。
  6. 評価し終わったら本人と面談し、社長の評価結果をフィードバックして下さい。
  7. フィードバックの際は本人が納得するまで話してあげて下さい。
  8. 改善の為の対策を本人と話し合い、自己革新テーマ、実践事項等を合意して下さい。

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内観研修による管理者の革新事例

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    月刊Car Business 2017年第3号
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シニアコンサルタント 瀬野 幸洋 Yukihiro Seno

1986年大手コンサルタント会社入社後、中堅中小企業を対象に中期経営計画策定、管理者研修、営業マン研修等を担当。

1992年から大企業の管理者を対象にタイムマネジメントの教育、業務改革のコンサルティングに数多く携わり実績をあげる。

管理者を対象にした内観教育(M-SIP)も数多く担当し、後継者、役員、幹部、管理者、若手リーダーと、企業の将来を担う人材の意識改革の
エキスパートでもある。

各階層の社員の仕事に取り組む姿勢を変革し、その成長に寄与することをライフワークとしている。

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