伸び悩む中堅スタッフの課題①~共感力を磨き、お客様に関心を持つ~
なぜ中堅スタッフが伸び悩むのか
「我社には、伸び悩む中堅スタッフが数多く存在するので困っている」と伺います。
要因の一つは、技術的な課題「共感力」が挙げられます。ここ3年半で800人を超える営業スタッフと共に商談強化に努めてきました。中堅スタッフでも、「共感力」に乏しいスタッフが多いことに驚かされます。
自分の話したいことを話す自分本位な営業
そのようなスタッフ相手に、じっくり一連の営業の流れを確認すると、自分の話したいことを「一方的に」話す特徴があります。中堅スタッフですので、商品知識は豊富です。しかし、お客様の真の要望・ニーズを把握せずに、すぐさま「要望・ニーズと関係ない知識を話す」商談が多いことに驚かされます。最悪は、「お客様のメリットが全く分からないまま、知っている限りの専門知識を次から次へとひけらかす」といった「自分本位」で、傲慢な商談までありました。
そこで、受講者全員と、以下のような特徴を整理しながら、課題は何かを話し合いました。
- ①お客様が発した重要なキーワードがあっても聞き逃す、気づかない。
- ②重要なキーワードに対し、深掘りしても中途半端な状態で、次の話題に移る。
- ③深堀して要望・ニーズを捉えても、途中で忘れてしまい提案に活用しない。
- ④用途とニーズ(商品や購入に期待すること)が、同じだと勘違いしている。
- ⑤同じ用途の場合、同じニーズしかないと決め付けている。
- ⑥お客様に関心が無いか、ニーズなど不要である、と考えている。
これらの行動を引き起こす背景に「受注が取れていないので余裕がない」、「短時間で商談を終わらせたいので時間が無い」、「お客様に伝わっていないと感じてしまい、余計に知識を伝えてしまう」、「自分は車の知識を伝えるのが仕事で、決めるのはお客様だ」など、受講生から出てきます。
「共感力」の欠如は、CS低下や顧客離脱を招く
これでは、原因を特定できませんので、更に掘り下げると「お客様に関心が無い」、「自分の目的が最優先」、「お客様本位でない」ことが分かってきました。豊富な知識がありながら、お客様を深く知らないので「真の要望・ニーズに適した最高の提案」にならず、「お客様の要望・ニーズに沿っていない身勝手な提案」になるのです。何とか提案して受注したい、と意欲が高いと言えますが、お客様の喜びと両立できていないので、これでは、顧客満足は低下し、顧客離脱につながります。
この解決には、営業職とは何か?と改めて振り返る必要があります。営業とは「お客様に喜んでもらう最高の提案をすること」「そのために、いかにお客様の真の要望・ニーズを把握するか」です。このことを中堅スタッフに伝えると、皆さん「はっ」とされます。我々は、この原点に立ち戻ってから、「共感力」強化の技術的指導をします。
いかがでしょうか?トップの皆様には、「営業は、最高の提案をすることが仕事」という本質を、全営業スタッフと共に再確認していただきたいと思います。
次号は、中堅スタッフが伸び悩むもう一つの要因、「心の課題」について触れていきます。
レッツチャレンジ
- 営業スタッフに対し、実際の商談を取り上げ、お客様の真の要望・ニーズについて確認してみましょう。
- 真の要望・ニーズが不鮮明な場合、お客様に対して「なぜか?」と関心を持って、「背景」を掘り下げてみましょう。
- 懇意なお客様と「用途」などの情報から、「情報を掘り下げる」訓練をしてみましょう。
- 普段の上司・同僚とのコミュニケーションでも「なぜか?」と関心を持って、「情報を掘り下げる」訓練をしてみましょう。
今回の無料読者プレゼント
導入企業の声
・ショールームで、お客様と笑顔で談笑しながら、スタッフがどんどん質問している声が聞こえます。お客様のことを理解しようとする姿勢が高まり、非常に明るい商談が増えたと感じます。また、店長からは、職場内の上司や同僚との会話でも、深く感情移入できるようになり、仕事が前に進むようになったと嬉しそうに報告してくれました。(A社長)
・共感力強化後に、私がお客様役を担いロープレ訓練すると、ニーズを把握する力が相当高まったと感じます。嬉しい悲鳴ですが、中途半端なお客様設定では、深掘りされて丸裸にされてしまいます。こちらとしても真剣に準備しなくては、と危機感が芽生えました。(B店長)
・商談案件確認すると、重要な情報やポイントを確実に収集できているので、助言も簡潔に済み、成約率も非常に高まりました。一方、低迷スタッフは、大事な情報を押さえていませんので、助言をしても後手に回り、失注してしまいます。次の育成課題が見つかりました。(C店長)