経営コラムColumn

シニア層との関係強化で若年層の紹介獲得~銀行業界の事例に学ぶ~

若年層の開拓はシニアとの関係強化から

新車ディーラー(カーディーラー)の管理客のうちシニア層(60歳以上)の比率は、店舗による違いはありますが、30%~50%を占めると思います。このシニア層には子供夫婦や孫がおり、多くは同じ商圏に住んでいるにもかかわらず、若年層の新規開拓が進まないことが課題になっています。
若者のライフスタイルに合ったサブスクリプション型の提案などを進めていますが、なかなか効果は見えてきません。まず自店のシニア客との関係強化をしっかり図ることで、子供夫婦や孫の紹介を増やしていくことが重要です。
新車ディーラー(カーディーラー)は顧客との接触機会が多く、お役立ち情報提供機会は豊富にあるので、すぐにでも着手して効果を上げることが可能です。シニア層の関心事を的確に掴み、情報提供力を高めて成果を上げた銀行業界の事例をご紹介しましょう。

銀行業界での事例

業界としての危機感から、シニア層との関係強化に先んじて取り組んできたのが銀行です。年金受給口座の獲得にしのぎを削り、様々な工夫がされてきました。

中でも効果を上げたのが、30年も前から多くのシニア層に愛読されている「もも百歳」という雑誌を使った事例です。全国の銀行が年金受給者に向けて、自社独自の情報提供誌として発行し、シニアの関心の高い記事や、地域に密着した情報を届け、ずっとお付き合いできる関係をつくってきました。

従来は金融商品の説明や融資の提案だけに終わっていたお客様とも、雑誌の記事をご紹介して渡すだけで、関係性が変わっていきます。次にお会いするときに記事の感想を聞くだけで、関心事やご要望をいただけて会話が弾み、仲良くなれる効果が現れるのです。
中には「マネーの記事の内容が素晴らしく、友人や子供たちと色々と考えるきっかけとなった」と、わざわざ感謝状を送ってくださったお客様もおられ、担当者が従来の販促ツールとは全く違った効果を実感しています。

また、法人のお客様にお渡ししたところ、会社で回し読みをされ、社員の方からこの雑誌が欲しいのでお宅で口座を開設したいとお越しになられたこともあります。
この雑誌の発行を機に手持ちでお客様との接触を増やした銀行では、一気に口座数を増やし他行を脅かしました。

お役立ち情報提供による期待効果

銀行業界での事例を学び、シニア層の関心事の情報提供を通じ、新車ディーラー(カーディーラー)では次のような施策を展開してはいかがでしょうか。

  1. 地元を中心にした旅行やドライブの記事があれば、楽しいカーライフの話題で盛り上がり、高速道路でも安心して運転できる装備や、疲れない快適なシートなど具体的な要望をいただくことができます。
  2. 健康に関しても、腰痛や睡眠不足など多くのシニアの悩みを解消する記事など、お客様が関心のある情報を提供することで、ありがとうをいただく機会が増え信頼関係ができていきます。
  3. お客様のお孫さんを自慢する『孫じまん』という人気の記事は、お孫さんが全国コンクールに出場したといった情報を発信し、ご友人や近所の方にも雑誌が配られ紹介につながります。
  4. 年金を含めた老後の資金計画など、マネーに関する記事をきっかけにして、お客様の資産管理に役立つ情報が提供できれば、自動車の乗り替え時期や費用についても相談に乗ることができ、有効な提案が増えるでしょう。
  5. 相続や遺言信託も高い関心事ですが、是非お子さんと話したほうが良いですよ、と親身にアドバイスして関連する記事を継続的に提供することで、信頼感も強くなり、子供夫婦やお孫さんとも関係が広がり、増車や紹介につながる機会も増えます。

今後の成長発展を目指し、是非とも、シニア層との関係強化による若年層の紹介獲得に取り組まれることをお勧めします。

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