経営コラムColumn

共感力でメカニックが劇的に変わる

メカニックの特性

「なぜメカニックになったのですか?」と聞くと、「コミュニケーションを取るのが苦手」「人と話すことが得意でない」という理由をあげる方が多くいます。自動車に向き合って黙々と作業をすることが仕事だと思っていたわけです。
しかし、会社に入ってみれば、上司や同僚とコミュニケーションを取ることは不可欠ですし、来店されたお客様と会話をする機会もどんどん増えてきます。多くのメカニックは、そういう状況に戸惑い、それなりに努力はするものの、上手くいかないケースが多いようです。なぜなら、もともと苦手意識がありコミュニケーションスキルも不足しているからです。
私どもでは「人と接して好感や信頼を得る力」つまり「共感力」が、営業スタッフだけではなくメカニックにも非常に重要だと思っています。メカニックが上司や同僚はもちろん、お客様とも上手に接して好感や信頼を得ることができれば、CSや業績の改善につながります。実際にメカニックの皆さんに「共感力訓練」に取り組んでいただくと、大きな効果が表れます。

お客様対応の変化

通常メカニックは、お車の状況の確認、検査や修理の結果報告をするためにお客様とコミュニケーションを取る必要があります。一般的には、事務的に一つひとつの項目の確認や説明をするだけになりがちです。お客様は内容の理解もそこそこに「はい、はい、はい」と受け答えするしかなく、事務的に会話が進んでいきます。これではお客様との関係は深まりませんし、追加整備や乗り換え等の提案にもつながりません。
ところが、共感力が身につくと、メカニックの対応は劇的に変化します。あるメカニックは、お客様と業務以外の話しをしたことが無かったそうです。しかし、上司や先輩にも協力してもらい1カ月間共感力訓練に取り取り組んだ結果、ちょっとした合間にお客様と雑談交じりの楽しい会話ができるようになりました。早く信頼してもらえるようになり、いろいろと相談されるようにもなりました。お客様のお車に対する不満や要望も聞けるようになり、今では、追加整備や乗り換えの提案も積極的に行い、業績的に貢献できるようになりました。

社内コミュニケーションの変化

共感力訓練に取り組むと社内コミュニケーションも改善され、組織の活性化にもつながります。ある店舗では、サービス内での連絡ミスでよくトラブルが発生し、険悪なムードになることが多かったそうです。そのため、生産性も悪化し、目標未達が続いていました。しかし、共感力訓練に取り組んだ結果、日常のコミュニケーションが改善され、報連相もスピーディーになりました。店の雰囲気も明るくなり、お客様からもお褒めの言葉をもらうことが増えました。
メカニックは、共感力を高めると劇的に変化します。サービス部門の組織に課題を感じた場合は、メカニックの共感力訓練に取り組んでみてはいかがでしょうか。

レッツチャレンジ

  1. メカニックと接客ロープレを行い、お客様目線で共感力があるかをチェックしましょう。
  2. メカニック各人の共感力を高めるための課題を明確にしましょう。
  3. メカニック各人に共感力を高めるための訓練計画を作成させましょう。
  4. メカニックが共感力を高めるための訓練のサポートを行いましょう。
  5. 定期的に接客ロープレを行い共感力が向上したかどうかをチェックしましょう。

メカニックの共感力訓練を実施した現場の声

  1. 今まではお客様とは必要なことしか話していませんでしたが、共感力訓練を実施してからは、自分から積極的にお客様に話しかけ、雑談などもするようになりました。お客様から相談を受けることも増え、仕事を楽しく感じるようになってきました。(若手メカニック)
  2. 日々、仕事に追われて、お客様とは事務的なやり取りしかできていませんでした。この訓練を実施してからは、お客様と気持ちの良いコミュニケーションを意識しています。会話の時間は増えましたが、お客様から追加の注文をいただくことも増えて、業績的にも効果が出てきています。(中堅フロント)
  3. 共感力訓練を実施してからはメカニックのお客様対応が非常に良くなりました。又、社内のコミュニケーションも改善し、チームワークが強くなって、お店の雰囲気も明るくなってきました。これからが楽しみです。(店長)
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    月刊Car Business 2018年第9号
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シニアコンサルタント 瀬野 幸洋 Yukihiro Seno

1986年に大手経営コンサルタント会社入社後、95年から新車ディーラー(カーディーラー)1180拠点以上を支援。営業スタッフの商談力強化、店長のマネジメント力強化等のテーマに取り組む。

管理者を対象にした内観研修(M-SIP)を長年に亘って担当し、自動車販売店の店長や工場長の自己革新事例には事欠かない。

管理者やリーダー社員の仕事に取り組む姿勢を変革し、その成長に寄与することをライフワークとしている。

自動車業界の後継者育成にも数多く関与し、日刊自動車新聞社発行の「クルマ屋を継いで良かった!」の著者でもある。

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