経営コラムColumn

残価設定型プランの営業クリニックで浮き彫りになった課題② ~「聴くこと」が「残クレ提案」の第1歩~

「聞く」ではなく、「聴く」

前号で「残クレ営業クリニック」に触れ、残クレ獲得以前に一般商談に根本的な課題があると述べました。それは、お客様の話を「聴かないこと」です。クリニックに同席された社長様は「私が、普段『あれも、これも提案しているか、話し方はこうだ!』と指摘しすぎだからだ。」と猛省されていました。

実際、「聞く」と「聴く」の違いを調べました。

  • 『広辞苑』
  • ・広く一般には「聞」を使い、注意深く耳を傾ける場合に「聴」を使う。
  • 『類語国語辞典』
  • ・「聞く」は、音や声を耳に感じ認める意、「聴く」は、聞こえるものの内容を理解しようと思って進んできく意である。

「聴く」ことは、とても重要で価値がある

「聴く」ことは、以下のように、営業活動にとって、重要で価値があることです。

  1. お客様のことを良く知って仲良くなることができる。
  2. お客様の楽しい話題で終始すれば、商談が楽しく盛り上がる。
  3. お客様の真のニーズ、車に求めていることを把握できる

中でも③は、車の提案だけでなく、残クレ提案に絶対に必要です。

どのように「聴く」のか?

これを伝えても、自力で「聴く」ことができず、「聴く方法」を教える必要があります。昨今の「話す訓練」に加え、普段からコミュニケーション能力が鍛えられていません。辞書にありましたが、「聴く」は「注意深く理解する」こと、お客様を「深く知る」ことです。「深く知る」ためには、「話を深く掘り下げる」必要があります。しかし、多くの営業スタッフは、お客様から、車の用途が「キャンプ」と分かった瞬間に「深く掘り下げず」、「それであれば、このお車は・・・」と一方的に商品説明に入ります。結果的に、お客様は聞きたくない話につき合わされ、「仲良くなることができず」「楽しく盛り上がらず」「真のニーズを把握できず」商談が終了します。(第2号コラム参照)

「聴く」ためには、お客様に関心を持って、決めつけない質問が大事

100人のお客様には100種のニーズがあります。「聴く」には「お客様に関心を持ち、深く知りたい」と思い、「拡大質問」をすることです。
例えば「車をキャンプで使う」お客様には、

  1. どこに行くの?
  2. 誰と行くの?
  3. どんなことして遊ぶの?
  4. どのくらいの頻度で行くの?
  5. 次回いつ行くの?
  6. 車をどのように使うの?
  7. 今の車はどのあたりが不満なの?
  8. 次の車に何を期待しているの?

という流れで質問すれば、「仲良くなる」「盛り上がる」「ニーズが把握できる」はずです。

「訓練方法」は「フルスペックロープレ」

これはまだ、商談の入り口です。お客様から獲得できた「関係」「熱さ」「ニーズ」を最終のクロージングまで維持し続けることがとても大切です。
経営陣、上司の皆さんには、「短時間のショートロープレ」もありますが、是非、商談の最後までを通した「フルスペックロープレ」を実践いただき、課題解決を目指してください。

レッツチャレンジ

  1. 情報の少ないお客様設定で、一つの情報から話が拡大できるか練習してみましょう。
  2. 実際に保有する引き継ぎユーザーなど、顧客情報が少ないお客様に実践してみましょう。
  3. 職場内、家庭内でも、意識すれば訓練が可能です。話を拡大する意識を持ちましょう。

導入企業の声

  • 「お客様のニーズというものがとても重要だと改めて実感しました。“形”だけの商談で無く、お客様取って“価値”ある商談を心がけたい。」
  • トヨタ系列 営業10年目 Aさん

 

  • 「お客様のニーズを把握できないと、お客様に合わせて残クレが提案できないと気づきました。今まではどのお客様でも全く同じ提案していたことはとても恥ずかしいです」
  • トヨタ系列 営業4年目 Bさん

 

  • 「商談が盛り上がらないと良く店長から指摘されていましたが、その原因に気づきました。お客様の興味ある情報を掘り下げていないことでした。これから疎遠なお客様とも楽しく話ができそうです。」
  • 日産系列 営業14年目 Cさん

 

  • 「自分の弱点がはっきり自覚できました。お客様のことを理解できれば、もっと新車販売が月2台は増えると思います。残クレ獲得の前にやるべきことが沢山あります。」
  • ホンダ系列 営業5年目 Dさん

 

  • 「改めてニーズの重要性が分かりました。お客様の発言に注意を払い、掘り下げることを目指します。そして残クレを提案します。普段の同僚や家族との会話から気を付けます。」
  • 三菱系列 営業6年目 Eさん
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    本コラムが掲載されている
    月刊Car Business 2017年第6号
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代表取締役社長 寒川 誉浩 Takahiro Samukawa

1992年に大手経営コンサルタント会社入社後、95年から新車ディーラー(カーディーラー)100拠点を支援。2002年に残価クレジットFC本部支援、2006年には、委託販売のカーリンクチェーンの本部構築、数多くの研修やノウハウ開発、理念経営、CS向上支援を実践。

営業スタッフの商談力強化、店長のマネジメント力強化から、経営理念の浸透支援、経営戦略策定支援まで自動車販売業に対して幅広い支援実績を持っている。

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