経営コラムColumn

社員の幸せな人生を考える~社員の幸せは、仕事への生きがい~

「仕事の生きがいを考える」意義

日本で、大多数の社員に、仕事に生きがいや遣りがいが無いことをご存知でしょうか。ギャラップ社によると、仕事への熱意を示す社員が、日本は2022年で5%に留まりました。同社のCEOは「5%とは、社員20人に1人しか仕事への熱意が無い。日本は、09年の調査開始以来5〜7%で推移し、世界で最も低い」と答えています。一方、世界平均は23%と21年比2pt上昇し、調査開始以降最高でした。

<日本の「熱意ある社員」5% 世界は最高、広がる差>

弊社が実際に、経営陣から相談を受けると、以下のような社員の実態がありました。

・目先の仕事に追われて一日が終わり、疲弊している

・意義や目的が不明な方針や指示が与えられるので、戸惑う

・この会社で自分がどのように成長できるか、分からないので、将来が不安だ

・仕事を上手に遂行できず、もし失敗したらと考えると、不安で憂鬱になる

・職場では、上司に褒められることや、認められることが、ほとんどない

この実態では、ギャラップ社の調査結果も当然だと感じます。
そこで、前出のコラムに記したセリグマン氏のPARMA(パーマ)の法則「M:生きる意味や目的」に着目します。

仕事で生きがいを感じるテーマとは、顧客満足と自己成長である

弊社では、以下のような「幸せな人生を考える」演習をします。

  1. 偉人や先人の人生に学び、幸せな人生の条件を考え、理解する。
  2. 幸せでない自分に気づき、自分が幸せを感じる特性を掘り下げる。
  3. 現在の仕事と、幸せを感じる特性から、テーマと目標を設定する。これが、仕事の生きがい感や、生きる意味だと自覚する。
    例)お客様の感謝の声を獲得する、その為に提案力を磨く
    例)お客様とのつながりを深くする、その為に共感力を磨く

このように、仕事の生きがいには、「顧客関係の改善」と、その実現に向けた「自己成長が必要」と納得することで、人生の意味や目的、為すべきことが鮮明となります。

生きがい感を獲得した受講者の実例

この演習では、仕事や生きがいについて記したレポートをもとに、1人1時間のグループ討議で、自身を振り返り仕事の生きがいについて考えます。具体例を示しましょう。

<20代後半 若手スタッフ>

【レポート内容】
学生時代のサッカーに熱中し、創部以来初の全国大会に、仲間と出場したことが最も充実した。予選大会の優勝が最も嬉しかった。そこまでの厳しい練習も、今となっては充実していたと感じる。現在は、会社に与えられた目標しかないし、毎日が楽しくない。

【振り返りのポイント】
・過去から、幸せ実感の特性を掘り下げる、それは、大きな目標と達成感ではないか。

【幸せな人生のテーマ】
仕事で大きな目標“3年で全社1位になる”を掲げ、管理客500件全数と仲良くなる。お客様に喜ばれる提案力を磨く。そのために全力で事前準備やロープレ訓練する。

<30代後半 中堅スタッフ>

【レポート内容】
学生時代の野球で挫折し、現在の仕事もうまくいかない。いつも途中で諦める、ミスもトラブルも多いので、毎日がつらい。入社時の仕事の選定理由は、飲食店アルバイトで接客に面白さを感じ、お客様の“ありがとう”が嬉しかったこと。

【振り返りのポイント】
・仕事選定理由を掘り下げる、バイト時代のお客様の感謝を獲得できた行動とは何か。

【幸せな人生のテーマ】
お客様の“ありがとう”を、毎日獲得できるようにする。お客様の関心事に最新情報を提供する。毎週、入庫客10件にお客様が幸せに感じてもらえる提案を行う。

<40代後半 ベテランスタッフ>

【レポート内容】
生きがいだった子供2人も、社会人、大学生に成長し、もうすぐ独立する。子育てが一段落し、時々「このままで良いのか」と、残りの社会人人生を考える。30代まで全力で頑張ったが、同期に昇進で負けて意欲が減退し、今の仕事は、惰性のように取り組んでいる。

【振り返りのポイント】
・次のポジションを目指さないことに後悔は無いのか。
・生きがいである子供に、惰性のように取り組む仕事への姿勢を示して良いのか。

【幸せな人生のテーマ】
もう一度、店長を目指す。個人目標完全達成しながら後輩を指導する。決意や覚悟を持って、逃げずに全力で取り組む。仕事の取組み姿勢で、子供達の模範になる。

このスタッフ達は、演習翌日に店舗全員に向けて「幸せな人生のテーマ」を発表すると、表情が明るくなり、行動が劇的に変わったと、店長や同僚から伺いました。
いかがでしょうか。このように、幸せな人生や仕事への生きがいを考えることで、社員の行動革新に大きな影響を与えるのです。

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代表取締役社長 寒川 誉浩 Takahiro Samukawa

1992年に大手経営コンサルタント会社入社後、95年から新車ディーラー(カーディーラー)100拠点を支援。2002年に残価クレジットFC本部支援、2006年には、委託販売のカーリンクチェーンの本部構築、数多くの研修やノウハウ開発、理念経営、CS向上支援を実践。

営業スタッフの商談力強化、店長のマネジメント力強化から、経営理念の浸透支援、経営戦略策定支援まで自動車販売業に対して幅広い支援実績を持っている。

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