こんなリーダーはいませんか?~指示・命令型で部下の主体性、向上心が高まらない~
トップダウンは、部下の主体性を奪い育たない
Bさんは、若くしてトップセールスとなり、店長に昇進しました。店舗目標達成のため、トップダウンで部下に様々な指示を出します。その結果、店舗目標は達成しますが、部下は、「やらされ感」で受け身の姿勢になりました。その結果、B店長が異動になるとその店舗の業績は落ちてしまうのです。
360度評価で自身を見つめ直す
B店長は、マネジメント研修を受講。「リーダーシップ360度評価」と「グループ内観」では、目標達成を優先し、部下を育成しないことが問題視されました。彼は、「指示を与え、成功体験を積めば育つ」と考えていたため、誰も育ちませんでした。周囲の指摘や助言を受けて、「育成とは、自分で考え自分で行動できるようにすること」と気づきました。
また、講師から、「B店長が異動した後に業績が悪化もするのは、自ら考えるスタッフを育成できていないからではないか」と指摘されました。
B店長は、「部下の主体性や思考力を高めることは考えてもいなかったので、答えを教えることしかしていませんでした」と反省し、部下の主体性や思考力を高める指導に取り組みました。
部下に目標を持たせ、育成課題を合意する
B店長は、部下の生き様インタビューで、相互理解を深め、その後、若手スタッフCさんの育成に取り組みました。Cさんは引継ぎ客が多いので、点検などで来店するお客様と親しい関係を築くことにしました。
また、Cさんの能力評価では、「傾聴、共感、相互理解」、「責任感、主体性」に課題があり、その改善に向け、「お客様に関心を持って、仲良くなる」、「自身で問題を発見し、店舗改善に取り組む」活動を合意しました。
質問による指導の実践
B店長はCさんと、顧客情報を収集しながらお客様と親しくなる方法を一緒に考えることにしました。
B店長「このお客様の趣味が分からないようなので確認しよう。どうしたらいい?」
Cさん「これまでは、『趣味は何ですか?』と聴いていました」
B店長「突然、聞かれたらお客様も驚くと思う。どうしたらいいと思う?」
Cさん「・・・」
B店長「トランクや座席に積んであるものを確認したりできるよね。他には?」
Cさん「・・・」
B店長「SUVに乗っていらっしゃるのですが、趣味でどこかにお出かけになりますか?と聴いたりできるよね」
Cさん「なるほど、早速やってみます」
B店長「趣味が聴けたら、Cさんが知っているものなら、共通の話題として盛り上がろう。知らなかったら、詳しく教えてもらおう。趣味を自慢したいお客様は多いからね。」
翌日、嬉しい報告がありました。
Cさん「〇〇さんは、渓流釣りがご趣味で、会社の同僚と月2回ぐらい行っているそうです。釣りは知らなかったので、関心を持って聴いたら、楽しそうに色々と教えてくれました。すごく仲良くなれたと思います。ありがとうございました。」
これが研修で修得した「質問による指導」です。答えを提示するのでなく、質問することで部下が一生懸命に考え、答えを振り絞ろうとするので、思考訓練につながるのです。
Cさんは、最初は、何も考えておらず、ヒントを与えても答えが返ってきませんでしたが、1カ月もすると、どうすれば楽しい会話ができるか、お客様情報を聴けるのかを考えるようになりした。
さらに、乗替えを検討してくれるお客様も出始めました。B店長は、提案シナリオを教えるのではなく、質問による指導を粘り強く実践しました。すると、Cさん自身で考えたシナリオで受注でき、自信を持ち始めました。
また、お客様に喜ばれるために自ら考え、積極的に店内の掃除や整理整頓するようになりました。来店時には小走りでお出迎えし、お見送りではお車まで案内し、最後まで丁寧に挨拶するなど行動も大きく変化したのです。能力評価の「傾聴、共感、相互理解」、「責任感、主体性」の点数も上がりました。
Cさんは、3カ月後には、見違えるように成長し、受注台数や残価割賦率も増え、他のスタッフにも刺激を与えるようになりました。
B店長は、研修の最終日に、「スタッフの成長を見るのは本当に楽しい。これからは、自身の使命として取り組みます」と嬉しそうに宣言しました。
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