経営コラムColumn

店長のリーダーシップが劇的に変化するパート2

前号でご紹介した、「万年“そこそこ”で満足していた店長」が自己の革新を遂げ、いよいよ店舗改革に着手しました。

活動開始1カ月、新たな課題に直面する

★A店長の自己革新テーマ
「もう逃げない、自分を甘やかさない、店長陣のリーダーになる」
<実践事項>

  1. 常に高い目標を公言し、店舗全員に宣言する
  2. 部下との個人面談で相互理解を図り、動機づける
  3. 毎日朝礼で「さあ、行こう!」と元気になる言葉を発信する

研修受講後、A店長は、高い目標として「個人の年間目標全員達成!」を店舗全員に宣言し、朝礼では、元気になるグッドニュースを当番制で共有することにしました。
そして、部下との毎週の個人面談を1カ月実施し、相互理解しようと努めたものの、皆、受注が伸びず、悩んでいました。A店長は、受注低迷の原因を考えました。「最近、新規来店が減少しているので、代替受注の増大しかない」と、個人別に管理客の見込を分析しました。

代替見込増大をテーマにPDCAマネジメントを開始

並行して受講する研修では、「PDCAマネジメント」が始まりました。
そこでA店長は、受注不足の真因を究明するため、研修の助言を基に、各人の保有見込数を把握すべく、従来の取引別管理でなく、管理客を層別に6分類し分析しました。

★見込客分類の基準:疎遠、情報不足、情報充足、見込(2年以内、6カ月以内、1カ月以内)
<個人別受注目標と見込客分類>

そして、見込客を多く保有するBさんに確認すると、「私は、これでも不足だと感じます。理想は、月間受注目標8台に対し、6カ月以内見込は10倍の80件保有したいと考えています。今はまだ60件しか保有できていません。」と答えました。
Bさんの考えを受けて、A店長は「店舗5人の月間受注目標28台に対して、6カ月以内見込が計105件しか無いし、ほとんどBさんの見込みだ。これでは代替受注は増えない」と愕然としましたが、見込客増大をテーマにPDCAマネジメントを導入し、改革しようと決意しました。

見込客の層別管理で深く真因を究明する

A店長は、個別面談を踏まえて、次のように課題を整理しました。

・Bさん以外の共通課題:入庫面談数が少ない。増大する方法が必要。
・Cさん:2年以内、6カ月以内の見込が多いが、1カ月以内見込が4件と少なかった。
・Dさん:2年以内の見込が多く、1カ月以内1件、6カ月以内9件と少なかった。
・Eさん:情報充足が多いが、2年以内も含め見込が45件と少なかった。
・Fさん:疎遠、情報不足が多く、情報充足が少なかった。

見込客増大に向け、Bさん以外の共通課題を入庫面談増大とし、方針を決定しました。

<店舗方針>

  1. 月初、当月面談客リストに目的や実施事項を整理。
  2. 土日の時間捻出に、平日入庫、納車を促進。
  3. 前日か当日朝に全来店客の来店時間と実施事項を整理。来店が重複しても全数面談。

次に、リーダーのBさんと相談しながら、個別の課題と解決策を整理しました。

<個人別課題と解決策>

  1. CさんとDさんは、下取が高額と見積提示する「金額訴求」で留まる。お客様が今すぐ購入したいと思う「価値訴求」に変える。
    ・2年以内見込全数(Cさん130件、Dさん110件)に対し、最近体験した「ヒヤリ、ハット」情報を収集し、安全性を訴求する試乗で、「価値訴求」を行う。
  2. EさんとFさんは、引継ぎが多いので、「顧客理解」が必要。関心の高いカーライフと具体的な用途を捉えていない。まずお客様との「信頼関係作り」を重点活動とする。
    ・車と無関係でも、趣味や家族、嗜好などの関心事を把握する
    ・車の用途で、最も強い関心事を把握する
    ・この情報を記録し忘れず、常にお客様との会話で、この関心事を話題にする
    ・この関心事に役立つ情報を集めて提供する

店舗は着実に成長。ついに目標達成。

6か月後、スタッフは見違えるように成長しました。店舗は販売・サービスともに3カ月連続達成、特に新車受注は前年比130%、代替受注は前年比160%に伸長しました。半期の個人目標を全員が達成し、皆、笑顔に変わりました。

<読者無料プレゼント>

「PDCAマネジメントシート・サンプル」
重点テーマに対する差異を分析し、真因を究明するために必要なマネジメントシートです。是非参考にしてください。

  • 無料プレゼント
    本コラムが掲載されている
    月刊Car Business
    2023年第3号
    ダウンロード

代表取締役社長 寒川 誉浩 Takahiro Samukawa

1992年に大手経営コンサルタント会社入社後、95年から新車ディーラー(カーディーラー)100拠点を支援。2002年に残価クレジットFC本部支援、2006年には、委託販売のカーリンクチェーンの本部構築、数多くの研修やノウハウ開発、理念経営、CS向上支援を実践。

営業スタッフの商談力強化、店長のマネジメント力強化から、経営理念の浸透支援、経営戦略策定支援まで自動車販売業に対して幅広い支援実績を持っている。

お問い合わせ・資料ダウンロード

コンサルティングに関するご相談などお気軽にお問い合わせください。