経営コラムColumn

法人営業の販売力を強化する

法人営業の特徴と対策

法人営業は、代替サイクルが短く(法人客は5年前後。個人客は8年前後)、リースの場合には、満了日の半年前ぐらいからホット案件として活動できます。また、大口受注となる可能性を秘めていますし、職域個人への販売チャンスもあります。さらに、日中不在の個人営業よりも法人営業の方が効率的です。

法人営業ならではの商談として、以下のようなものがあります。

  1. 対象法人の企業情報をインターネットなどで事前に調べることができる。
  2.  面談者が購入決定権を持っているとは限らない。
  3.  多くの法人では、車両入替に関する規定またはルール(使用年数、走行距離、購入車両条件など)がある。
  4.  経済合理性が重視されることが多いが、安全性や荷室の使用方法などコスト以外に重視されるニーズもある。
  5.  面談時間が短い。

こうした特性に応じて以下のような対策を講じることになります。

  1. 事前の情報収集により、さらに深い情報収集ができるように準備する。
    「御社のホームページに〇〇とありましが、△△はどうでしょうか?」
  2.  購入決定権者または担当者を見極める。
    車両担当者が存在するかどうか?(本社総務が一括して管理など不存在の場合も)
    その方の権限(役割):決済者、車種を選定して稟議を上げる役割など。
  3.  入替に関する規定またはルールを必ず確認する。
    例)5年経過で10万km以上であれば入替、そうでなければ再リースなど
  4.  導入コスト、燃費などの経済合理性は必ず押さえ、さらに用途やニーズに合わせた車種とその特徴を訴求する。
  5.  ヒアリングすべきことは確実に確認し、提案や説明はコンパクトにする。

法人営業の改善事例

私どもがご支援したディーラーの法人営業部では、情報収集力と顧客ニーズにあった提案力の強化をテーマに研修をしました。
開始当初は、情報収集の抜け漏れや一方的なプレゼンとなってしまう受講者が多くいました。短時間の面談が多いことから、あまりヒアリングをせず、自分の話したいことを一方的にプレゼンするクセがついていたのです。他にも、専門用語が多い、説明が長い、ヒアリングした情報を提案に結び付けられないなどの問題も出てきました。しかし、聞くべきこと聞き、顧客ニーズに合ったコンパクトな提案ができることを目指してロープレ訓練を重ねた結果、受講者の提案力は各段に向上しました。
そして、研修で学んだことを営業現場で実践するにつれて、「『なぜ』を意識して情報収集することで、自信を持った提案ができるようになった。」、「リース料(コスト)勝負から脱却し、顧客に喜ばれる商談が増えてきた。」といった受講者の成長の声が聞けるようになりました。

法人営業も、その特徴を押さえた対策(ツール整備や教育訓練)により、新たな販売増大につなげることができます。

レッツチャレンジ

法人営業のヒアリング情報項目とその方法を整理しましょう。

  1. 法人営業に携わるメンバーを集めます。
  2. 各人が「法人営業情報収集50項目」を用いて、営業活動でヒアリングできているかどうかをチェックします。
  3. ヒアリングできている項目は、どのようなトークで聞いているかを簡潔に記載します。
  4. 各人の情報トークを共有します。
  5. なぜその項目を聞くのかが分からないメンバーがいれば、その目的を確認します。
  6. 誰もヒアリングできていない項目があれば、ヒアリングの必要性の有無、どのようなトークで聞けばよいかを検討します。
  7. 他にヒアリングすべき項目がないかを確認します。
  8. 必要があれば顧客台帳などを改訂します。

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無料読者プレゼント:法人営業情報収集50項目

研修後の成果事例

A社で増車を検討していることが分かりました。女性スタッフ増員とのことで、いろいろ伺うと運転に慣れていないことも想定したいとの要望をもらいました。競合車とのコストと安全性能の比較表を作成してプレゼンしたところ、当社を採用いただくことができました。

地方拠点の車両を全てRVタイプとしていた法人に対して、各エリアの年間降雪量の資料を使って車両担当者と一緒にRVタイプと△△4WDの使用先を検討した結果、降雪量の多い一部エリアを除き△△4WDの導入となりました。

当社の整備工場を使用していないお客様に対して、現在のメンテ先への要望や不安をきくことができ、当社のネットワークの広さやサービス内容を説明し、お客様の利便性を訴求したところ、入庫いただけました。

相手の真のニーズ・ハードルを聞き出したり、相手に納得してもらえる話法を身につけることができたので、相手の考えについて、「なぜ」を常に考えるようになりました。それにより、真のニーズ・ハードルをつかみやすくなり、自信を持って相手にご納得いただける提案ができるようになりました。

 

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    本コラムが掲載されている
    月刊Car Business 2017年第5号
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シニアコンサルタント 設楽 教之 Noriyuki Shidara

大手経営コンサルタント会社入社後、多くの生産性改善・営業力強化コンサルティングを担当。
その後管理本部長として、総務・法務・人事、財務などを統括。
現在は、法人営業部や一般店の法人営業の取組支援のほか、管理者やエンジニアの意識改革、営業スタッフの商談力強化に取り組んでいる。

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