マイカーリースで新車販売を4.9倍に増大した先進事例に学ぶ
マイカーリースが2014年7万台弱から2015年12万台強に急増した。残クレと同様に顧客生涯価値増大に有効なので、その実態と成功のポイントについてレポートします。
日本のマイカーリースの歴史
1990年代後半にマイカーリースの取扱いが始まった。新車ディーラー(カーディーラー)も取組んだが、大きな成果はなかった。しかし、2000年頃、サブディーラーN社(沖縄)が年販600台を実現した。
その後、N社の教えを受けたサブディーラーが増えたが、市場性や認知度の違いから、本州の店舗では、年販30台前後に留まっていた。しかし、2014年、岡山のF社が1万円リースを開発し、2016年479台を販売した。
F社の成功事例が契機となり、2015年頃から、オニキス、カーベル、カーコンビニ俱楽部なども、1万円リースを相次いで始めた。
F社の1万円リースの成功要因
※右図の「導入効果」をご覧ください。
- メンテナンスリースを5年から7年に延長することで、タントLの月額を15,000円から12,500円に引き下げた。
- 7年ファイナンスリースも品揃えに加えることで、月1万円を実現し、価格競争力を強化した。
- 車検到来客へ全数提案し、管理客代替台数を1.8倍に増大した。
- 地域情報誌、電波広告で認知度を高め、新規客を増大した。
既成概念を打破する1万円リースの実態
- 点車検やオイル交換だけでなく、バッテリーやタイヤ交換なども任せて定額月払のメンテナンスリースが喜ばれる。(特に女性客)
- クレジットと金利を比較するお客様は、ほとんどいない。
- 広告は、軽自動車の低価格車種で打ち出しているが、車種はグレードアップが多く、ミニバンの注文もある。その結果、リース料は、月額平均2万円を超えている。
- 併有車の代替が多い。ご主人高額車(新中不問)購入に同席した奥様が机上のチラシを見て、同時に注文を頂くことも多い。
- メンテナンスに詳しくない女性客の満足度が高く、紹介も多い。
- 広告は、月1万円(ファイナンス)+2,500円(メンテナンス)+2,000円(ナビ、コーティング等)と打ち出し、アップセルを徹底。メンテナンス(9割超)、ナビ等(5割超)も獲得でき、台粗利16万円前後を確保している。
今後の可能性
- 7~9年代替を好むお客様には、メンテナンスリースが最適
5年以上乗り続けることを好むお客様には、残クレは適していないので、残クレ獲得率は4割前後が限界だが、残クレとメンテナンスリースを合わせれば、獲得率7割が可能になる。 - 代替サイクル短縮し、7年落ちの下取車が増えるので、中古車の増大も期待できる
10年以上乗り続けるのを好むお客様にも、格段の安全性向上などのメリットを魅力的に啓発できれば、7年代替の合意は獲得しやすく、代替サイクルを短縮できる。 - 若年顧客が増大できる
軽のマイカーリースならば、新規客や管理客の子供世代の開拓などで、若年顧客の増大ができます。
最後に
新車ディーラー(カーディーラー)には、まず、残クレの増大をお奨めします。しかし、残クレ獲得率が4割を超えたら、マイカーリースで戦略の幅を広げることをお奨めします。
レッツチャレンジ
マイカーリース戦略のニーズチェック
皆様の会社が、マイカーリース戦略へ取組む時機か否かを確認してみましょう。
- ・代替サイクルが9年を超えている管理客が多いので短縮したい。
- ・残クレ獲得率は4割を超えて高いが、半分以上が再分割となり、危機感を感じている。
- ・残クレ獲得率が4割を超えて伸び悩んでいるので、新たな戦略を探している。
- ・併有車の代替を増やしたい。
- ・若い新規客や女性客の販売を増やしたい。
- ・紹介客の販売を増やしたい。
- ・点車検入庫率を高めたい。
導入効果
F社の新車販売実績推移