経営コラムColumn

人材が見違えるように育つ人事評価制度のすすめ

1. 社員の意識を改革する教育と人事評価制度

私どもの前身の会社では、赤字に転落した車買取店を2004年に譲受け、2008年に黒字転換しました。当初、ビジネスモデルを卸売から小売へ転換することで黒字転換できると考えていました。しかし、買取車両を全数オークション売却に依存していた社員は、中古車小売を手間がかかると嫌がり抵抗しました。そこで、私も覚悟を決め、2005年に社長に就任し、社員の意識を改革するための教育を企画し、評価制度も改定し、理念経営に取組んできました。その結果、社員の意識改革が進み、新たな分野へのチャレンジも厭わない組織風土を醸成することができました。この会社は、15年近く経った今も、好ましい組織風土を維持向上しています。

この経緯から開発した車買取販売店向けの「限界突破商談訓練」を2006年以降、展開し、2014年以降は、新車販売店向けにもカスタマイズして展開して参りました。おかげさまで数多くの販売店で採用され、「人材が見違えるように成長する」との高い評価を頂戴するようになりました。しかし、受講後3年もすると、半数は効果が持続しているのですが、残る半数は、効果が半減してしまいます。冒頭に紹介した会社との一番の違いは、人事評価制度の違いにあると感じ、数年前から、人事評価制度のコンサルティングを始めました。その結果、限界突破訓練の効果持続性が高まるとともに、組織風土も大幅に改善したとお喜びの声を頂戴するようになりました。

2. 才能開花型人事評価制度を導入したお客様の声

<管理職の成長に手応えを感じたA社長のお話>

  1. 「評価項目毎の人材育成手法」が分かり、管理職の人材育成力が高まりました。例えば、マナーも笑顔や言葉遣いなど具体的で細部まで育成課題を発見し、指導するようになってきたおかげで、職場にも活気がでてきました。
  2. また、「質問による指導」という考え方に触れ、管理職の部下指導が指示型から質問型に変わり、部下の主体性と思考力が向上し、意欲も高まりました。実際、指示待ち姿勢だった部下も上司に相談する前に「自分はこうしたい」と考えることが習慣になってきました。
  3. さらに、管理職の「危険予知事前除去力」が向上し、計画立案力と遂行力が高まりました。例えば、月の初めと半ばで、未達リスクを深掘りし「面談件数は達成できるが、成約率が危うい。要因は、若手2名の知識、提案力不足にある。達成するために、毎日30分、提案ロープレテストを先輩主導で実施する」などと考えるようになりました。

<ベテランや若手の成長に手応えを感じたB社長のお話>

  1. 新商品の勉強会やロープレ訓練の主催など後輩の教育指導の役割を与えることで、中堅人材の視座が高まり、リーダーシップを発揮するようになりました。当初は、一方的講義だったものが、後輩たちの課題を把握した上で、工夫を凝らした効果的な勉強会を企画できるようになりました。
  2. また、若手の成長スピードが速くなりました。一人前になるのに少なくとも3年かかっていたが、評価制度改定後は、2年で約半数が一人前になるように変わりました。特に、マナー、整理整頓、ルール順守、素直さ、気遣い、共感力などの姿勢面が見違えるように成長しました。
  3. さらに、ネガティブな言動で周囲に悪影響を与えていた人材がポジティブな言動を心がけるようになり職場の雰囲気が明るくなりました。

3. 人事評価制度のよくある問題点

人材育成や組織風土にお悩みの経営者のお話を伺うと、その要因は、下記のように、大きく5つあると感じます。

①理念や戦略、方針と評価制度が乖離しているために浸透しない
●顧客重視を謳いながら顧客重視の姿勢を評価していない
●新規事業や商品開発への注力を謳いながら挑戦心や創意工夫の姿勢を評価していない
●5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を展開しながら、その姿勢を評価していない

②能力を的確に評価する制度がないために、人材登用が適正にできていない
●田中店長は、A店で好業績を上げて昇格したが、その後、異動したB店では業績が低迷し、組織も疲弊してしまった。実態を調べると、田中店長は、人材育成力やリーダーシップが不足していたが、A店にはリーダーシップに優れた右腕人材がいたことが分かりました。特に管理職は、「業績が好調だから実力がある」と勘違いしているケースを多く見かけます。実力を見抜く評価制度が無い(≒人を見る目が無い)のが根本要因です。

③能力評価がスキル偏重、人間力軽視のため、登用や育成が適正にできていない
●身勝手だが、営業スキルが高く、個人業績が優秀な人材を管理職に登用した結果、モラハラで職場の雰囲気が悪化するとともに、求心力を失い、業績が低迷するケースを多く見かけます。営業スタッフもお客様から見ると人間力こそが重要なのに、教育も評価もスキル重視で人間力を軽視している会社が多くあります。

④評価基準が曖昧で客観性や納得感に欠ける
●人間力やスキルなど評価項目は妥当でも、明確な評価基準が無く、各自の主観による5点満点(悪い、少し悪い、中間、少し良い、良い)で評価させる制度を見かけます。客観性が無いので、評価者も自信を持てませんし、被評価者の納得感にも欠けます。

⑤毎年の評価結果が代わり映えしないので社員の動機づけになっていない
●教育やOJTがほとんど実施されていない。評価制度が育成課題を明確にするようになっていないか、教育制度が連動していないため、教育効果が上がらない。

<人事評価制度のチェックリスト>

4. 人工知能の時代に勝ち残る才能開花型人事評価制度とは

人事評価制度には、公平感と納得感は必要不可欠ですが、これからの時代は、人工知能にとって代われない人間力を中心とした育成効果が重要になってきます。多くの社長様から「若い人は、常識(言葉遣いやマナーなど)や向上心、人への関心、気遣いが弱い」「中堅でも顧客志向と業績志向がアンバランスな人が多い」「全般的に主体性が弱く指示待ちの人が多い」「ネガティブな言動が多い問題児がいる」などの悩みをお伺いします。

その会社の人事評価制度を確認すると、それらの要因となる能力を評価する項目が無いか、あっても客観的評価基準が無く、(良い、普通、悪い)など主観により評価がばらつき、課題が合意できていないという問題が見受けられます。

私たちの提供する人事評価制度は、多くの企業で必要とされる能力項目が体系化され、評価基準も客観的に整理されています。

5. 人事評価制度見直しのポイント

  1. 理念、戦略、方針を浸透するための項目を評価制度に明確に落し込む。
  2. 能力評価と業績評価を分離し、「業績を上げているから能力も高いだろう」というハロー効果を排除する。
  3. 能力評価は、人間力とスキルをバランスよく評価するように項目を設定する。
  4. 評価基準を客観的なものにし、誰もが納得感のある基準にする。
  5. 人材育成課題を明確にし、評価制度と教育制度を連動する。

6. 才能開花型の人事評価制度構築セミナーのご案内

私たちは、主体性の高い人材を多数輩出する組織づくりを使命としています。そのため、人間力と思考力を重視した教育と人事評価制度を提供しています。

仕事で成果を上げるには、スキルも必要です。しかし、人間力(素直さ、誠実さ、向上心、共感力など)が未熟な人材にスキルを教育しても効果が上がりません。私たちは、この真実を踏まえて、2006年以降、まず人間力を高めてから、スキルを教育し、思考力を鍛えることで飛躍的な成果を上げてきました。

人材の構成比を優秀さで区分すると(上位2割、中位6割、下位2割)と言われます。これは、日本社会の人間力の平均的構成比を表していると思います。実際、私どものグループ会社や支援先も昔は(2:6:2)でしたが、現在は(6:3:1)の組織が増えています。

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