<リーダー奮闘記> 店舗マネジメント改革
~顧客関係性の改善で新車スタッフ効率を向上する~
顧客関係性マネジメントの重要性
ここ数年、「20代の人材は、お客様への関心や共感力が低い。どのように教育したら良いか分からない。」という悩みをよく伺います。そのような場合、私は、次のように回答しています。
「顧客管理ではなく、顧客関係を管理して教育指導すれば、多くの人材は、共感力が高く、お客様に可愛がられるようになりますよ。」
顧客関係性の管理について、その概念を下表にまとめたので、ご参照ください。
顧客関係性のマネジメントレベル
レベル | 内容 | 特徴 | |
高 | 右脳プラスの 左脳思考 |
親密度が高く、何でも相談してもらえるお客様を増やすために、スタッフのコミュニケーション力やお役立ち情報の提供、販サ連携などを管理し、育成している。 | 顧客満足度が高く、防衛率が高い。 早期代替や併有車代替、紹介も多い。 |
中 | 左脳思考 | 防衛率、入庫頻度、代替頻度、接触頻度、顧客情報把握度などを管理している。 | クレーム・トラブルは多くないが、顧客関係が事務的で親密度が低い。 紹介は少ない。 |
低 | 思考停止 | 顧客関係性の管理に無関心で放置し、新車、U-car、割賦、保険などの販売しか管理していない。 | 顧客関係が希薄で上澄みをすくい続ける。 お客様のことを考えない自己中心的な売込が多い。 クレーム・トラブルも多く、顧客離脱が多い。 |
スタッフ効率の飛躍的向上を実現
この顧客関係性の管理で、営業スタッフの飛躍的な成長を実現した店長の取組み事例をご紹介します。新車スタッフ効率(全店平均4.1台)が3.4台と低迷していましたが、私が月1回お伺いし、店長と議論を重ねることで、半年後には、4.3台と大幅に改善しました。
営業スタッフの顧客関係性のあるべき姿を描く
私は、店長に「営業スタッフとお客様の関係性をどのようなものにしたいですか?」と質問し、問答を何回も繰り返しました。
店長: 課題は、個々に違うのですが
沖 : 全員に求める最高レベルを考えてみてください。
店長: 入庫頻度や防衛率が高い。併有車代替や早期代替が多い。紹介が多い。
沖 : それは結果ですね。そのためには、どんな顧客関係の構築が必要ですか?
このような質問を繰り返した結果、次のような思いが明確になってきました。
「車に限らず、何でも相談してもらえるお客様を増やしたい。」
あるべき姿と現状のギャップを明確にする
そこで、「顧客関係性のあるべき姿と現状のギャップをスタッフ個々に明らかにしてください。また、そのギャップを解消する方法も考えてください。」と質問し、一緒に検討しました。その結果、スタッフ一人一人の課題と期待事項が明確になりました。
① 田中さんは、「何でも相談してもらえる関係づくりのスキルは高く、紹介販売も多い。しかし、時々、忙しさにかまけて、点検入庫のお客様に挨拶はするが、着座面談していないことがあるので、少なくとも5分以上の着座面談は徹底して欲しい。これができれば、さらに、販売台数やサービス売上も増える。」
② 山田さんは、「スキルは高い。同性の女性客とは仲が良く紹介も多いが、言葉数が少なく気難しそうな男性客が苦手でリピートが少ない。であれば、男性客とも仲良くなるために、相手に関心を示し、共感するとともに、話題を増やして欲しい。」
③ 若手の鈴木さんは、「お客様との面談が事務的で話が盛り上がらない。経験不足で商品知識も不足している。まずは、面談準備をしっかりするとともに、お客様に関心を持ち、話題を増やし、談笑できるお客様を増やしてもらいたい。そうすれば、信頼してくれるお客様が増える。」
顧客関係性を強化するスタッフ指導
次に、店長は、スタッフ一人一人に対して、毎日1件、本日面談予定のお客様との関係改善のストーリーを一緒に考えることにしました。顧客関係の現状と理想像について質問や示唆を与えながら考えてもらうと、お客様に関心を持って趣味や関心事を理解し、共感し、お役に立てることはないかとの姿勢に変わり、業績も大幅に改善するようになります。
もちろん、その他にも、様々な取組みが必要です。笑顔で明るい声を出す訓練、お客様との会話が弾むように新聞を購読し、趣味を増やし、お客様の仕事を興味深く聴くことなども最初は、大変かもしれませんが、理想像が明確になれば達成感も味わえるので頑張れるものです。自分自身の成長を実感できるのも楽しくなります。
1ヵ月後、店長は、スタッフ全員が確実に成長し、「車に限らず、何でも相談してもらえるお客様」が着実に増えている手応えを感じ始めました。半年後には、全員が見違えるように成長し、来店客との談笑も以前とは比較にならないほど増え、店舗の雰囲気も明るくなりました。
皆様にも、顧客関係性のマネジメントを強くお勧めします。
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