経営コラムColumn

営業スタッフが人口知能(AI)やロボットに負けないために~共感力が勝負を分ける~

人工知能やロボットが人間を凌駕する!?

最近、「人工知能やロボットが人間を凌駕する」、「最強囲碁棋士が人工知能に敗れる」という記事を目にします。様々な分野の仕事が人工知能に取って代わられる、と言われますが、車の営業職はどうでしょうか。ある販売会社では、ソフトバンク社のペッパーが商品説明しています。営業スタッフより正確に話してくれる、と経営陣は高い評価をしています。

大事なのは「共感力」

それでも人間には、人工知能に負けない能力があります。接客や商談に大事な能力の1つ、「共感力」です。共感力を磨けば、「人と人との交流をもたらす」、「相手の真の要望をくみ取る」、「メリットある提案を行う」という素晴らしい行動ができるからです。
それでは、「共感力」とはどんな力でしょうか?
初めてお会いしたお客様と「世間話で心を和ませる」、お客様の「関心事を最大限聞き出す」、その関心事から「お車」に何を求めているか読み取る能力です。「お客様の真のニーズを捉える力」と言えます。

「話す訓練」の弊害

しかし、昨今の「話す訓練」の弊害で、優秀な営業スタッフでも、お客様の話を受け止めず「一方的に話す」ことや、お客様の心を和ませるどころか、お客様は関心が無いのに、スタッフが「売るために必要な話」を続けることで、お客様が心を閉ざす場面を多く見かけます。これではロボットに商談させる方が好ましいと言わざるを得ません。

もう1つの弊害は、用途とニーズをはき違えていることです。「用途」は使用方法、「ニーズ」は商品に求めるものですが、あるスタッフは、「用途」を聞いた途端、「その用途であれば・・・」と一気に話し始めます。
例えば、車を購入する場合には、用途が「キャンプ」でも、車に求めることは、「居住性」、「走行性」「安全性」と多岐に渡るので、充分にくみ取らないと分かりません。それにもかかわらず、「キャンプ」と聞いた瞬間、お客様に不要な「車の性能」までも一気に説明し、不快にさせます。重要なことは、「ある用途」のために「車に求めること」を聞き出し、「検討しているこの車であれば、求めることが実現できる」と分かりやすく話すことです。

このように営業スタッフが「ニーズや要望」を聞かず、勘違いをしながら「最悪な提案」を続けると、ロボットに代わられる日が近いと思います。

今後、人工知能に勝るために、「共感力」を磨き「真のニーズを捉え最高の提案を行う」ことで、お客様から信頼や感謝をいただき、生涯お付き合いをしたいと思われる営業スタッフへと成長することが求められます。この「共感力」が人工知能やロボットと差別化する根本的な能力だと確信しています。

レッツチャレンジ

1.共感力をチェックしましょう。
①笑顔 ②視線 ③声の大きさ・抑揚 ④質問力 ⑤話題力

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2.特に重要なのは、質問力。聴く力を磨くことです。
・お客様の回答に対して、5W1H(2Hとも言う)の質問の法則が大事です。
・「いつ、だれが、どこで、何を、どのように、なぜ」の質問です。
・お客様の車の用途が“釣り”の場合、どのような質問をするか考え、紙に列挙してみましょう。
・お客様を理解することが重要ですので、決めつけた質問をしないようにしましょう。
・紙に列挙した上で整理できたら、ロープレで訓練してみてください。

3.ロープレ訓練がとても重要です。仲間と一緒に練習しましょう。
・お客様役は、話が途中で終了した場合、次の質問内容を一緒に考えてあげましょう。
・お客様役は、質問トークが適切かどうかきちんと確認し、指摘してください。
・お客様役は、再度「15のチェックシート」で改善状況を確認しましょう。

<K社長の声>
営業スタッフ、フロントメンバーそれぞれの変革ぶりに驚かされました。営業スタッフも全く明るい表情に変わり、声も大きくなり、質問が上手にできるようになったと思います。また、フロントメンバーは、メカニック出身者が多く、普段は業務に忙殺されていて、仏頂面のメンバーが多かったのですが、僅かな期間の訓練で「満面の笑み」で会話できるようになりました。本当に嬉しいですね。フロントは店舗の顔ですので、彼らの印象次第で会社の印象が変わってきます。これからは彼らの成長こそ、会社の成長であると考え、彼らを支援していきたいと思います。

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無料読者プレゼント:ロボットに打ち克つ共感力チェックシート(15項目)
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    月刊Car Business 2017年第2号
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代表取締役社長 寒川 誉浩 Takahiro Samukawa

1992年に大手経営コンサルタント会社入社後、94年以降、営業の生産性向上支援で、OA機器、医療機器、新車ディーラー(カーディーラー)の営業スタッフ600人以上を育成し、営業部長や店長に対する営業マネジメント強化に携わる。

2000年から新規事業の立ち上げやフランチャイズ本部を多数支援する。2006年には、大手経営コンサルタント会社の子会社で、自ら全国フランチャイズ本部を立ち上げ、数多くの研修企画やノウハウ開発、SV支援、理念経営、CS向上を実践する。

営業スタッフの商談力強化、店長のマネジメント力強化から、経営理念の浸透支援、経営戦略策定、新規事業立ち上げに対して幅広い実績を持っている。

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