中小法人開拓のすすめ②社長の懐に入り、人間関係を強化する
「社長は近寄り難いとの思い込みを克服するには、相手に興味を持ち、お役に立ちたいとの気持ちで自信をもって面談する必要がある」と前述しました。本章では、そのための手法をご紹介します。
生き様インタビューのすすめ
生き様インタビューとは、「創業や後継の理由、前職、生い立ち、苦労話や自慢話、尊敬する人物、将来の夢、最近の関心事」などを伺うことです。その目的は、相手の生き様を理解した上で、その価値観を受容することにあります。過去から未来まで物語として相手を理解することが大切であり、単なるお客様情報の収集とは違います。
具体的には、「今の仕事は、いつ始めたのですか? なぜ前職を辞めて今の仕事を? 一番の苦労は? 一番、嬉しかった事は? 将来の夢は?・・・」など、過去から現在までの生き様や将来の夢を聴きながら、相手の価値観や魅力をその背景と一緒に受容します。
聴き上手に徹し、時折、自己開示して、相手に心から深く共感を示すと、信頼関係を築くことができます。大切なのは、「それは、つらかったでしょうね。嬉しかったでしょうね。素晴らしいですね。私も同じような経験があります。勉強になります。」など、自己開示しながら、相手に感情移入することです。
30~90分かかりますが、お客様の生き様を知り、共感することで、お客様とも親しくなれます。特に、同郷、同窓、知人、趣味などの共通点が見つかると、一気に親しみが増します。気難しい人が相手でも生き様インタビューでその背景や価値観を受容すると、うちとけることができます。
このノウハウは、お客様だけでなく、同僚、家族、友人知人にも活用することで、関係を良好にすることができます。
<エピソード1>
地元で有名な料理研究家。他社客だがバッテリー上がりなど困った時だけ電話がくる。2年前にレクサス店を紹介したが決まらなかった。多忙でなかなか会えないが、ある日、時間が取れたので、生き様&事業をインタビューした。
長男への後継準備で会社を新設すること。帰省(片道110km)や講演会で長距離運転すること。移動中にyoutubeで自分の講演を聴き直すことなどを伺い、懇意になる。その際、4WDのHVの希望も伺い、カムリを受注した。youtubeをもっと快適に視るために、ナビにBluetoothでつなぐことを提案すると、とても喜んでもらえた。メンテパックも加入し、よく入庫するようになったが、特に用が無くても遊びに来るようになった。
<エピソード2>
お客様のご紹介で修理入庫した浄水場関連業界の社長に生き様&事業をインタビューした。創業の経緯や事業内容、将来展望など伺うととても親しくなることができた。
その後、ノアの新車代替を提案。リースを希望していたので、詳細な資料を持参して説明したところ、競合セレナのリース月額が2,000円安かったが、「あなたから買いたい」と言ってもらえ、受注できた。
<エピソード3>
冷凍機販売修理業の社長にRX納車の日に食事に誘われ、生き様&事業をインタビューした。
西日本出身でとび職、トラック運転手を経て冷凍機の修理業に転職。北海道には、お客様の依頼で出張修理に来た。北海道の市場開拓の余地に魅力を感じて独立開業した。開業後は順調だが、修理の見習いの頃の苦労話を伺い、親密になった。後日、社員を紹介してらいLXも受注した。
<エピソード4>
地元有名ホテルの社長と飛込訪問で面談。生き様インタビューの際、趣味の「山登り」で意気投合。その場で携帯電話番号を交換。
クラウンとキャラバンを所有しているが、競合ディーラーの訪問が無く、しばらくメンテナンスしていない様子。そこでオイル交換を提案し即入庫。即日、オイル会員に加入し、キャラバンの代替意向も頂戴した。
<エピソード5>
前任者から引き継いだ飲食店の社長に生き様インタビューした際、私の出身高校が社長のお子様と同じと分かり話がはずみ、「折角のご縁だから新人の君を応援する。半年後は車検でなくて買い替える。」と代替意向を頂戴できた。
<中小法人は、職域開拓や人脈紹介の宝庫>
中小法人は、法人車両だけでなく、マイカー通勤車両の取引チャンスもあるので、極めて効果的な販売ルートです。また、経営者は、魅力的な人物が多いので、彼らの生き様を学び、知見を広げることで、自分自身の人生を豊かにすることができます。業績成果だけでなく、人生を豊かにするためにも、中小法人開拓にぜひ意欲的に取り組んでみてください。
次号以降、「職域開拓で紹介受注を増大する」、「お役立ち情報提供で価格競争から脱却する」についても、順次、ご紹介いたします。
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