没入こそが、人材の成長を促し、幸せに導く
エンゲージメント(没入、集中、夢中の状態)による充実感
エンゲージメントとは、目の前のことに集中し、没入することで得られる充実感です。皆様も、仕事に熱中して時間が経つのを忘れていたという経験があると思います。本コラムでは、この「没入」によるスタッフの幸せについて考えます。
仕事に没入する鍵は、お客様の喜びを考え尽くすこと
仕事に没入し、充実感を持っているのは、どのようなスタッフでしょうか?
上司の指示に従うだけで、やらされ感で仕事をしているスタッフは仕事に没入していません。没入しているスタッフは、日頃から、お客様に喜んでもらうのが嬉しくて創意工夫を重ねています。その結果、お客様にも喜ばれ、自身の幸福感につながっています。
では、仕事に没入するスタッフを育成するにはどうすれば良いのでしょうか?
優秀なマネージャーは、毎朝、当日の入庫客に対する面談レビュー(面談前に問題発見し、助言する)を全スタッフに実施し、「お客様に喜ばれるにはどうしたら良いか」を考えさせます。さらに、スタッフ以上にお客様のことを考え、時には周囲も巻き込んで、より喜ばれる提案をアドバイスしています。その事例を紹介しましょう。
【お客様にとって本当に大事なことを考えさせる】
「エアコンが効かない」と60代の女性から電話がありました。担当のAさんは、このお客様が10年間で10万km走っていることもあり、代替をお勧めしましたが、「とても愛着があるので乗り続けたい」とおっしゃいます。
その理由を伺うと、「数年前に亡くなった母親とよくドライブに行っていたの。車に乗るたびに母を思い出せるから多少費用がかかっても、この車がいいのよ」とのこと。
翌朝のレビューで店長にお客様には修理で話を進めたいと報告すると、「本当にそれがお客様のためになるのか?」と聞かれました。何も答えられずにいると、店長が他の同僚にも声をかけ、一緒に検討し始めました。
同僚からは、「母親との思い出も大事だけど、事故があったら元も子もないのでは」、「10年も乗っていればエアコン以外のお困り事もあるはず」、「亡くなったお母様は現状をどう思うか?」といった意見が出ました。店長から、「皆の意見を参考に面談シナリオを考えてごらん。後で、ロープレしよう」と言われました。
夕方に来店されたお客様に伺うとパワーが落ちたし、エンジンや足回りの音が気になり始めた、燃費も落ちてきたとのことでした。
そこで、「お母様を思い出す時間は本当に素敵だと思います。でも、今のお車で事故があったら、素敵な思い出も台無しになりませんか。お母様もあなたの健康や安全を望んでいるのではありませんか」とお伝えしました。
すると、しばらくお考えになり、「そのとおりかもしれないわね。少し考えてみるわ」とお帰りになりました。暑い日が続いていたので代車を貸し出しました。
【担当スタッフ以上にお客様のことを考える】
店長に報告すると、「お母様との思い出も大事だよね。何かできないかな?」と聞かれましたが、何も思いつきませんでした。
すると、店長は「良いアイディアないか?」と周囲にも尋ねました。「今のお車の写真を贈呈しては?」との意見に、店長は「それは面白いね。どんな写真がいい?」と聞くと「お母様と一緒に行かれた思い出の場所は?」とのアイディアが出ました。
そこで、お電話で思い出の場所を伺い、お車を借りる了承を得ました。そして、思い出の海辺の夕日をバックに撮影した写真をフォトスタンドに入れて、3日後のご来店時に贈呈しました。
すると、写真を見るなり、感極まって号泣され、「本当にありがとう。これからは、この写真と一緒に新しい車でドライブを楽しむわ」とおっしゃり、代替受注となりました。
お客様に本当に喜ばれる商談ができ、生涯忘れられない出来事になりました。
実商談での成功体験が没入につながる
スタッフが、お客様に本当に喜ばれる成功体験を積むと、仕事が楽しくなり、日頃から、「お客様に喜ばれるにはどうすれば良いか」と没入することが増えてきます。それがスタッフの充実感や幸せにつながります。また、マネージャーが真剣にレビューしていれば、自身の没入にもなります。
スタッフが仕事に没入するように育成することで、部下の幸福感を高めていきましょう。
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