自己中心的なトップセールスが面倒見の良いリーダーに成長
後輩指導は二の次だった店長候補
営業スタッフ8年目の桜井さんは、トップセールスとして注目される存在でした。村上店長は、桜井さんに店長候補として期待をかけ、後輩の太田さんの指導を託しましたが、自分の販売活動を優先し太田さんの指導を後回しにしました。村上店長が指摘すると、「太田は言ってもやらないんですよ」と他責にし、不機嫌な態度をとることもありました。
村上店長は、受講中の人間力OJT訓練の取り組みとして、桜井さんを指導対象に選任しました。そして、生き様インタビューを実施し、桜井さんのことを深く知ろうとしたのです。
生き様インタビューでの気づき
店長候補としての期待を告げられた桜井さんは、率直に自分の生い立ちや、仕事に対する考えを語りました。
高校は中退で、若いころから昼夜アルバイトをして苦労した。両親が共稼ぎで、家に帰っても「お帰り」と迎えてくれる人がおらず、寂しい思いをしたことから、妻には家にいてもらい、子供や家族との時間を大事にしたい、そのために稼ぎたい。とその心情を話しました。
村上店長は、事前に書いてもらった相互理解シートに『尊敬される人間になり、店長を目指す』と書いていることを確認しました。そして、いつまでになりたいのか、どんな店長になりたいのか、給料が下がっても目指したいのか、と今まで聞いた話をもとに、具体的な目標を確認していきました。
そして桜井さんは「中卒で学歴の無い自分を拾ってくれた会社に感謝しています。店長になって、恩返しをしたい気持ちがあります」とその心情を吐露したのです。村上店長は発言を受けて、「尊敬される店長になりたいなら、今のままでは無理だ。後輩から信頼される人物になる必要がある」と率直に意見しました。桜井さんは「少し考えさせてください」と言いました。
桜井さんは家へ帰る車の中で、本当に自分がどうなりたいのかを考え、結論を出しました。そして、家に帰ると、待っていた妻に対し、確信に満ちた顔で、「給料は下がるかもしれないが、今後は店長を目指す人生を歩み、会社に恩返ししたい」と伝えたのです。妻も、夫の久しぶりに見る真剣な表情に感動し、「頑張って協力する」と言ってくれ、一段と勇気が湧きました。
後輩指導で課題を克服
次の日、桜井さんは村上店長と面談し、昨晩、妻と話した内容を伝えました。すると店長は、「尊敬される店長になるための人間力課題は、責任感・主体性だ」と諭し、共に検討しながら、以下の実践事項に取り組むことを決めたのです。
ここでは一部を抜粋して紹介します。
- 太田さんの育成。新規に頼らず、既納客販売を強化する。
- 店長を目指す過程において、店舗課題を把握し解決する。
- 苦手なパソコンリテラシーを高める。
桜井さんは、店長が自分に共感してくれることに感謝し、後輩に寄り添い、信頼されるリーダーになることを決意しました。
その日から桜井さんは、『責任感、主体性』を高めるために太田さんの指導計画を立て面談し、自分の経験をもとに訪問活動の進め方の指導を始めました。
それから2週間後、桜井さんは自主的に訪問活動しない太田さんにイライラし、頭ごなしに怒鳴った声が周囲にも聞こえ、職場の雰囲気が悪くなりました。
それを見た村上店長は、『冷静さ』も課題に加え、解決のため、自身も取り組んだ『怒り日記』をつけることを指導しました。桜井さんも反省し、聴く姿勢、話す姿勢を変えることに取り組み、『怒り日記』を毎日店長に報告しました。そして太田さんに謝罪。その後は、話を聞くときは手を止めて正面を向き、毎夕悩みを聞いて丁寧に指導し、太田さんも素直にアドバイスを受け止めました。
指導2ヶ月目、太田さんが訪問件数を増やしたことに手応えを感じ、同行訪問して自己紹介とキャンペーンチラシを、訪問客に加え近隣宅にも入れる指導をしました。すると3カ月目に入ったある日、会ったことのないお客様の奥様から突然連絡があり、併有車の受注に繋がったのです。太田さんは大喜びで桜井さんの指導に感謝し、信頼関係を強くしました。
その後も桜井さんは熱心に指導を続け、6カ月間で太田さんの疎遠客35人が入庫し、関係強化したことを確認しました。そして後輩指導の対象を増やすことを村上店長に提案しました。村上店長は、太田さんが積極的に訪問活動に取り組む姿を見て喜ぶと共に、桜井さんが後輩育成で成果を上げただけでなく、店舗全体を見て主体的に行動していることを褒め、さらに尊敬される店長になるための課題を共に検討し、OJTを継続しました。
【読者無料プレゼント】 身勝手なリーダーの革新を促す15のチェックリスト

株式会社アビリティブルームコンサルティング


















