名言に学ぶLearning from quotes

堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え~徳川家康~

江戸幕府初代将軍徳川家康の遺訓の一節です。長い戦乱の時代を生き抜き、天下統一を成し遂げた経験から生まれた貴重な人生訓といえます。
この教えは現代のマネジメントにも大変有意義で、部下との信頼関係を築くためには、まずマネージャーが怒りをコントロールし、お互いが成長する、そんな現場を数多く見てきました。

私が講師を務めたマネジメント訓練に参加したある店長は、内観で自分の行動特徴を洗い出したところ、
・部下の話を最後まで聞かない。
・できない言い訳に腹を立て、いいからやれよと一方的に押し付ける。
ということを自覚し、革新を決意しました。人間力課題を「冷静さ」と捉え、「怒り日記」を付け、毎日振り返りました。

怒り日記を分析してみると、ほぼ毎日、何かしらの怒りを感じている自分に驚きました。部下の発言に対し「言い訳ばかりしている」と怒っていることを自覚し、堪え忍んで、話を最後まで聞くことを実践、相手の目を見て正対して話すことも心掛けました。
すると、1ヶ月後位から、会話が簡単な受け答えで終わらず、相手の状況を理解し、相手のために考えて話す時間が増えました。「いいからやれ」がなくなり、スタッフが、「話しやすくなった」と嬉しそうに言ってくれるのを聞いて、感動しました。
それでも怒りの感情は出てきます。ある日、何度言っても変わらない部下の態度に怒り、気まずい雰囲気を作ってしまいました。そして「部下をお客様だと考える」との講師の助言を早速実践しました。成長が遅いことに怒った自分を戒め、お客様に接するように、まずじっくり話を聞き、何に関心があるのか、将来どうしたいのかを聴くことで、部下への共感を高めました。

さらに、自分の前に座る部下を観察していると、電話を切った直後に、お客様への不平・不満を口にしたり、後輩の指導に「あいつは何にも言うことを聞かない」と愚痴をこぼすことが多く、怒りの感情に振り回されていることに気づきました。そこで、「堪忍して、まず自分に矢印を向けることが必要」と諭し、一緒に怒り日記をつけることを実践したのです。
その後は目の前で、怒りを感じる様子に気づくとすぐに注意しました。そうすることで、怒りを自覚し、自分に矢印を向けた部下は、ネガティブ発言がなくなり、相手の事を考えて行動することが多くなり、後輩育成にも積極的に取り組むようになりました。

いかがでしょうか。怒りを鎮め、堪忍することが、リーダーの成長のきっかけになります。そして、部下にも指導することで、人材育成力が高まります。

シニアコンサルタント 新谷 健夫 Takeo Shintani

1961年京都市生まれ。1985年同志社大学卒業後、大手経営コンサルタント会社に入社。

中小企業の戦略策定、販売力強化、管理者の意識革新、人事評価制度などに取り組み、1996年からは大企業の研究開発部門における生産性向上活動に数多く携わり実績を上げる。

2000年からグループ会社を立ち上げ、新規事業開発、FC本部構築を推進するとともに、直営店舗も多く運営し、人材育成を実践する。

小集団活動など、現場に入り込んでの組織開発を中心に、豊富なコンサルティング経験を保有するとともに、実務経験を活かした実践的な指導に定評がある。

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