名言に学ぶLearning from quotes

一人はみんなのために、みんなは一人のために:One for All,All for One山口良治 伏見工業ラグビー部・日本一への挑戦

山口良治先生は、京都一荒れた学校と言われた伏見工業高等学校ラグビー部の総監督として、就任6年目に、同校を全国高校ラグビー大会の初優勝に導きました。1984年のTVドラマ、山下真司さん主演の「スクール・ウォーズ」のモデルとなった教師です。冒頭の名言は、日本のラグビー界ではよく知られた言葉ですが、強豪の花園高校に116-0で大敗したラグビー部員が、その悔しさをバネに猛練習を重ね、翌年の京都大会決勝で勝利するまでの礎となった言葉です。

私が担当した営業スタッフ向けの商談研修でのエピソードです。
受講生に、営業部長が臨店しても目も合わせずに陰に隠れる万年未達のベテラン社員Aさんがいました。日常会話もつたなく、消極的なため、誰からも相手にされていませんでした。研修でも、非常に苦労しました。研修修了が近づきましたが、難しい商談試験の合格が全く見えていませんでした。
そうした中、全員合格へ向けて、「One for All,All for One」を学びました。Aさんは、「スクール・ウォーズ」をリアルタイムで見ていた世代でもあり、この言葉で奮闘します。最終試験に向けて、自分のために、店舗内外の受講生や過去に修了した店長、同僚が集まってくれ、熱心に指導してくれることをありがたいと受け止め、全力で練習しました。
試験最終日には、「この1週間は、まるでスクール・ウォーズの『みんなは一人のために』を体現したようでした。この練習した期間は社会人人生で一番幸せでした」と振り返り、見事に合格しました。日常会話も流暢に話せるようになり、実商談でも、飛躍的な成果を上げ始めました。
その後、Aさんは、皆のサポートに感謝し、恩返ししたいと後輩育成に熱心に取り組むようになりました。まさに、名言前半の「一人はみんなのために」を体現してくれました。そして、営業部長の臨店の時は、真っ先に寄ってきて、成功事例や後輩の成長を嬉しそうに報告するようになりました。

セールススタッフの研修をしていると、一匹狼が多いと感じます。店長は、「全員で店舗目標を達成しよう」と語りかけますが、スタッフの多くは、「自身の目標さえ達成すれば良い」と考えています。その結果、チームとして機能せず、成果が上がらないのです。チームとして、個々人の積み重ね以上の成果を出すには、相互支援により、全員で目標達成に向かって一丸となる姿勢を養うことが重要です。

シニアコンサルタント 設楽 教之 Noriyuki Shidara

1966年福島県いわき市生まれ。1989年明治大学卒業後、大手経営コンサルタント会社入社。

業種業界を問わず、戦略策定、人材育成、生産性向上、評価制度設計・運用などのコンサルティングを幅広く経験。
上場企業の総務部長として、ファイナンス(資金調達)、内部統制、組織再編(事業統廃合、M&A)、IR業務などに携わる。

法人営業(BtoB)、個人営業(BtoC)の商談力強化をはじめ、マネジャー・リーダー育成、採用・育成定着などのコンサルティングで企業経営者の信頼に応え続けている。

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