名言に学ぶLearning from quotes

人を動かすことはできない、動きたくなる空気をつくる。梅田 悟司

梅田氏は、電通のコピーライターとして、商品やサービスの知名度を高め、購入してもらうための広告を長らく制作してきました。大切なことは人を動かす言葉ではなく、人が動きたいと思わせる言葉だと言います。これは、組織を動かすには、とても重要なことだと感じます。
先日も新任のマネジャーとお話しした際に、「部下を動かすのは、本当に難しいですね」と苦労している様子でした。
ではどうすれば 人は動きたいと思ってくれるのか。自身がやらせたいことを指示するのではなく、心をワクワクさせたり、ときめかせなければ人は動いてくれません。梅田氏は単に「伝える」ことと、「動きたくなる」の間にあるものは、「志」を共有しているかどうかだと言います。内容を伝えるだけでは「志」を共有したことにならない、相手が自分と同じ気持ちになって、はじめて共有は成立する。そのためには「何をするか?」「なぜするのか?」といった基本的な内容だけを伝えるのではなく「なぜ本気でそう思うのか?」「その結果、どうしたいか?」「なぜあなたとそれをしたいのか?」といった相手の価値観にまで踏み込んで伝えていくことで、初めてできることだと教えてくれています。その結果、本音で共感し、動きたくなる空気が生まれます。 

スタッフの意識はバラバラで、お客様からのクレームも頻繁に起こっている店舗がありました。この店舗に新しく着任した店長は、スタッフに「店舗をこのようにしたい」とビジョンを熱く語り、一人ひとりにどうなって欲しいのか期待をかけ、お互いの想いを共有するコミュニケーションを頻繁にとるようにしました。そうすると、自分の役割を理解して主体的に活動するスタッフが増え、協力し合って目標に向かうようになり、店舗の業績も大きく改善していったのです。
このような例から、リーダーのコミュニケーションの取り方で、大きく組織は変わっていくことを学んでいきたいと思います。

引用:梅田悟司著「言葉にできるは武器になる」 岩波文庫 1998年

シニアコンサルタント 新谷 健夫 Takeo Shintani

1961年京都市生まれ。1985年同志社大学卒業後、大手経営コンサルタント会社に入社。

中小企業の戦略策定、販売力強化、管理者の意識革新、人事評価制度などに取り組み、1996年からは大企業の研究開発部門における生産性向上活動に数多く携わり実績を上げる。

2000年からグループ会社を立ち上げ、新規事業開発、FC本部構築を推進するとともに、直営店舗も多く運営し、人材育成を実践する。

小集団活動など、現場に入り込んでの組織開発を中心に、豊富なコンサルティング経験を保有するとともに、実務経験を活かした実践的な指導に定評がある。

お問い合わせ・資料ダウンロード

コンサルティングに関するご相談などお気軽にお問い合わせください。