経営コラムColumn

経営者や役員を育てる①~まず、使命感、情熱を養う~

社長と対等に議論できる役員が育っているか?

少子高齢化や縮小市場では、戦略の見直し、組織改革をしなければならないが、対等な議論ができる後継者や役員が育っていないとの悩みを多くの社長様からお伺いします。
役員が社長と対等に議論ができない理由は、大きく3つあります。

①使命感や情熱が弱い。
②企画力、情報力が弱い。
③コミュニケーション力、共感力が弱い。

本稿では、まず、「使命感や情熱を養う」ことの重要性と方法についてご紹介します。

リーダーシップの発展段階

①最初は、自分の得意技(営業力、技術力など)でリーダーシップをとる。
②次は、経営管理知識や見識でリーダーシップをとる。
③最後は、生き様、経営理念、達成意欲の高さでリーダーシップをとる。
上記①②(得意技、見識)の重要性は分かっていても、③(生き様)の重要性が分かっていない人が多いと感じます。

生き様でリーダーシップをとる

業績貢献度は高くても、「強欲や身勝手」、「話が業績のことばかりで大義が感じられない」、「話は立派だが行動が伴っていない」など周囲の評価が低い残念な経営者もいます。
経営者を育成するには、「経営理念に対する純粋な忠誠心」 、「社員に対する強烈な使命感」が不可欠です。経営者は、熱烈な使命感に燃え、社員に経営理念を説き、生き方の指針を与える教祖的存在でなければなりません。松下幸之助氏など優秀な企業経営者の多くの例が、そのことを実証しています。リーダーシップは、自身の生き様(信条、志、価値観)に立脚したものでなければ、本物にはなりません。

社員に対する強烈な使命感

社員は夢や志を叶えるためのかけがえのない仲間です。「共に生き、共に苦労し、ついてきてくれる社員に生き方の指針を与え幸せにしてやりたい。それが自分の使命である」との覚悟がなければ、社員はついてきません。

経営理念に対する純粋な忠誠心

企業経営では、役員間の意見の食い違いが当然発生する。真剣な激論にもなります。意見対立した役員達が最終決定に従って一丸となって協力し合うには、共通の心のよりどころになる経営理念が必要です。「彼も私も同志として一所懸命議論をしたに過ぎない。方針が決定した以上、共に協力し合おう。」という姿勢が純粋に起こる状態になければなりません。利害得失によって対立関係に陥る単なる利益共同体であってはならない。だから、役員はまず経営理念に対する純粋な忠誠心を持っていなければなりません。
社長への忠誠心だけでは、役員はいつまでも依存し成長しません。だから、社長は、役員や社員がその実現に向けて心を奮い立たせ、忠誠を誓い得るだけの経営理念を用意しなければなりません。もし、「経営理念が無い」、「経営理念はあるが、経営者自身の信念が反映されている本物ではない」といった場合は、経営理念の策定や見直しから始めてください。信念がこもった経営理念や行動指針は、後継者や役員が育つために不可欠な条件です。

使命感や人格を養う役員教育が必要

社員に対する強烈な使命感を養い、経営理念を感得してもらうための特別な役員教育も実施すべきです。役員の教育投資以上に効果の大きい投資は他にありません。次号では、具体的な役員教育の方法をご紹介します。

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代表取締役会長 沖 晋 Susumu Oki

1960年北海道生まれの九州育ち。1985年上智大学卒業後、大手経営コンサルタント会社入社。
業種業界問わず、戦略策定支援、人材育成支援等、多岐に亘るテーマで300社以上の企業に対してトップコンサルタントとしての指導実績を持つ。
営業力、商品力双方の強化による業績改善を得意とする。

また、実業進出後は、理念経営による人材育成、組織開発を重視するようになった。理念、戦略、商品力、現場まで首尾一貫した組織づくりによる企業再建も経験豊富。

2004年から車買取販売カーリンク本部の代表者となり実業にも進出。2019年現在100店舗展開中のカービジネス研究所取締役会長も兼務する。

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