批判によって人間の能力はしぼみ、励ましによって花開くデール・カーネギー
全世界で1500万部以上のベストセラーとなっている「人を動かす」の一節です。少子高齢化が進み、採用が困難となっていくことが予想される状況で、人材育成はさらに重要なテーマとなってきています。そうした中、育成の基本として、カーネギーは批判ではなく、励ましによる育成を勧めています。また、カーネギーはこう記します。
「たとえ少しでも相手が進歩を示せば、心からほめようではないか。それに力を得て、相手はますます進歩向上するだろう。」
カーネギーは、批判や叱責ではなく、励ますこと、ほめることで意欲を喚起し、成長を促すことを推奨しているのです。
カーディーラーの会議やミーティングに参加する機会やマネージャー向けの研修を実施すると、ほめることが少なく、批判や叱責が多いと感じます。時には、感情的な怒りをぶつけ、部下を萎縮させているだけの状況に遭遇することもあります。称賛が少なく、批判や叱責が多い組織は、自社の貴重な人材が退職してしまうリスクがあることの危機感が薄いのだと思います。
もちろん、お客様や周囲に迷惑をかけたり、他責やひねくれて協調性に欠けたりするような身勝手な態度や姿勢は叱って戒める必要があります。一方で、ほめることは動機づけ、成長を促す有効な手段となるのです。
では、どのようにほめるのがよいのでしょうか? カーネギーは、そのポイントにも触れています。
「誰でもほめてもらうことはうれしい。だが、その言葉が具体性を持っていてはじめて誠意のこもった言葉、つまり、ただ相手を喜ばせるための口先だけのものでない言葉として、相手の気持ちを直に揺さぶるのである。」
小さなことでも良い行動を具体的に挙げて、心からほめて承認することで、部下のモチベーションが上がり、育成にもつながります。
「ほめる」ことの効用を考え、実践してみてはいかがでしょうか。