勝負では、『これでよし』と消極的な姿勢になることが一番怖い羽生 善治
将棋史上最強の棋士と言われる大山康晴氏の記録を破り、48歳で1434勝を成し遂げた羽生善治氏。今後の目標を聞かれると、「現役30年余りだが、上の世代になっても残せる将棋はあると思っている。自分なりの限界に挑戦したい」といかにも羽生氏らしいコメントをしていました。大ベテランになっても「これでよし」と満足することなく、強い危機感を持つ一方で可能性を信じ、チャレンジしていく。そんな姿がいつも人を惹きつけます。
羽生氏は7冠を達成した際に、尊敬する米長邦雄氏から、釣った鯛を例えに、「じっと見ていてもすぐには何も変わりません。しかし、間違いなく腐ります。どうしてか?時の経過が状況を変えてしまうからです。だから今は最善だけど、それは今の時点であって、今はすでに過去なのです」と戒められたといいます。米長氏も名人位を勝ち取るために「泥沼流」といわれる自分の将棋を一新し、最先端の将棋を一から学び直してタイトルを獲得した経緯をもっています。羽生氏はこの戒めを深く胸に刻み、勝ち続けるために、新しく違うものを最初からつくるという感覚、勇気、そして気迫を持ち続けたのです。
羽生氏がいつも積極的な姿勢で勝利を重ねてきた将棋上達法は、初心者の頃から変わらないそうです。それは、
- アイデアを思い浮かべる
- それがうまくいくか細かく調べる
- 実践で実行する
- 検証、反省する
というもので、いわゆるPDCAサイクルを回すというのに似ています。これを店舗経営に置き換えて参考にしたいのは、「アイデアを思い浮かべる」という最初のプロセスだと感じます。毎月受注台数目標やサービス粗利計画を掲げて活動を続けているのですが、いつも同じ行動パターンや進捗管理で仕事が上達していない、ということはないでしょうか。
羽生氏に習い、いつもチャレンジ精神をもって新しいアイデアを考え、実践している。 勝ち続けるためには、そんな組織をつくってお客様を惹きつけることが重要なのではないでしょうか。